~北海道で活躍している作家さんたちを紹介しています~  五十嵐 恒

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洗練された美の陶器 『三上 慶耀鹿追窯作陶』

 

 十勝管内鹿追町で作陶の道に入って以来25年。地元で採取する粘土とかぼちゃの葉と茎を灰にした釉薬で仕上げブルーやグリーン系を基調にした家庭用食器約50点を出品、洗練された美しさがファンの心を捉えている。
 作品は花びら文様の花皿、高さ約30㎝の花びん、八角鉢から小さなカップ類まで多彩。いずれもブルーやグリーンの濃淡の変化が美しく輝いている。しかも微妙に表現が違う黒っぽい線の走りが変化を与えている。
 「線」は、焼成する熱による膨張率の変化によって生ずる貫入の紋様。独学で確立した。「地元の農作物の灰を釉薬に」を基本に研究を続けた結果の「青澄釉」の新作を2008年から発表している。独自の“三上アート”である。

 札幌市中央区南1西2、丸井今井一条館7階で13日まで。



 DSC01588_convert_20180204104856.jpg 三上 慶耀(みかみ・よしあき)さん
 札幌では2011年以来個展を続けている。1998年平原社展に初出品で入選、2013年めし椀グランプリ展で入賞、17年東日本伝統工芸展で奨励賞。窯は電気。日本工芸会準会員、日本工芸会東日本支部北海道研究会、北海道陶芸会各会員。帯広工業高校卒。1971年十勝管内浦幌町生まれ。鹿追町在住。

 ◆写真は、青澄釉による数々の作品
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多彩な透明ガラスの美 『高臣 大介ガラス展』


 
 胆振管内洞爺湖町にガラス工房『gla₋gla(グラグラ)』を開設して以来16年。毎年精力的な取り組みを続けており、今年初の個展は「紡ぎあう」をテーマに大小100点の吹きガラスの作品を発表。その魅力を見せている。
 吹きガラスといっても「形に入れない」という宙吹きガラスの手法。大小の花器、各種容器類の形が、それぞれ微妙に変化、線の表現が美しい。しかも「ガラスは透明が基本…」と語り色彩は一切していない。色文様がない。
 昨年パリ、アメリカ(オハイオ州)を訪れ、そこで制作した作品も発表。
 小さな器から高さ約40㎝の花器まで多彩。『満月のガラス』『月の器』『水に咲く』といったタイトルの透明の美が清楚。思わず手に取ってみたくなる。

 札幌市北区北16西5、テンポラリースペースで前期は4日まで、後期は6日から12日。


 DSC01583_convert_20180204104754.jpg 高臣 大介(たかとみ・だいすけ)さん
 工房開設は2002年4月。高台にあり洞爺湖が一望できる。個展、グループ展で相次いで発表、今年も3月、5月に東京で。東京ガラス工芸研究所研究科修了。1973年千葉市生まれ。洞爺湖町月浦在住。

 ◆写真は、こでまりを生けた花器など

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27人が友好の美競う 『北海道・黒龍江省国際交流美術展』



 北海道文化団体協議会(阿部典英会長)が、中国黒龍江省と芸術文化交流を続けて32年目。その交流美術展。2016年にハルビン市で開かれて以来で今回が4回目。合わせて27人のアーティストが交流を深めている。
 出品は黒龍江省から7人、特別出品としてロシア・サハリン州から2人、北海道から阿部会長を始め道展、全道展、新道展、道陶芸協会の会員を中心に18人が出品。
 作品は、黒龍江省は水墨画を中心に油彩も含め画面いっぱいの満開の梅の花、少女像など多彩。サハリン州の2人は、油彩の冬景色で本道の農村風景を思わせる光景。
 本道の作家の絵画は、油彩の風景、人物から抽象作品まで個性豊か。阿部会長の柾、木の枝、発泡スチロールによる造形作品、陶芸協会4人の陶芸などバラエティーに富んでいる。総出展は38点。
 初日の22日にオープニングパーティーも開かれ交流を深めた。道文団協では「国境を越えた友情を感じとって欲しい」と語り、来年はハルビン市での開催が予定されている。

 札幌市中央区南1西11、コンチネンタルギャラリーで27日まで。

 ◆写真は展示されている数々の作品

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創作活動50周年の記念展 『渡辺 一夫木彫展』


 
 独学で木彫の世界に入って50周年―。その記念展。「木のぬくもり」をテーマに少女像や女性像中心の立像。花などを表現したレリーフ50点を出品。優しく心和む情緒。釧路市在住で札幌での新春展は連続4回目。
 「創作の原点は、幼い日の思い出…」で、犬を抱いている、夕焼けの中で歌っている、小枝を手に散歩をしているといったかわいい少女像が、優しいストーリーを秘めて表現され、心が和む。
 女性像は『北の旅』『北の街』などストーリーで詩情豊か。どの作品も余分な飾りがなく、色彩も茶系が基調。レリーフは『花』『フラメンコ』など優しく彩色している。「素材と対話をし、何を作るか考える」。カツラ、シナ、ニレ、ナラなどの“個性”を生かし心を込めて制作している。
 作品それぞれに優しい思いが込められている。

 札幌市中央区北5西7、大丸札幌店8階美術画廊で16日まで。


 DSC01559_convert_20180112140944.jpg  渡辺 一夫(わたなべ・かずお)さん
 高校時代から木工芸術家だった実父故元義さんの片腕だった。高校卒業後上京、東京美術研究所へ。1982年釧路で初個展。以後福島、東京、福岡、鹿児島などで開催、今年も仙台などで予定がある。1996年釧新郷土芸術賞。ギターも弾く。1948年釧路市生まれ。同市在住。

 ◆写真は数々の「木のぬくもり」の作品

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大作、力作を全館に 『楢原 武正展』


 
 「防風林のイメージです」―。壁面いっぱいに展開した全長25m×高さ3・2mの大作を始め全館に合わせて65点を出展、気迫の新春展に。1990年から続けている「大地・開墾」のシリーズ。作品は絵でも書でもないインスタレーション。
 大作は、未開の原野に防風林がどこまでも続いている…一部小品以外はモノトーン調の世界。いわば、“飾り”がない。それが原始性と神秘感を深めている。
 全長25mの大作は、段ボールに新聞紙を重ね、その上に墨や顔料で彩色、雪景色を思わせる白い空間に“黒い樹林”が重なり合い堂々とした風格に。
 他の作品も黒が基調。段ボール、鉄板、木片、針金、くぎ、古新聞といった廃材を組み合わせ平面ながら立体感を作り出している。そこには廃材に生命をよみがえらせる、という思いが伝わってくる。取り組みへのエネルギーがあふれている。

 札幌市中央区大通西5、大五ビル・ギャラリー大通美術館で14日まで。


 DSC01529_convert_20180112140840.jpg  楢原 武正(ならはら・たけまさ)さん
 「30歳から取り組んでいる」。キャリア40年以上。廃材によるインスタレーションで独自の世界を確立「毎年目標を立て思い切った作品を制作する」。新道展、行動展、北海道の美術イメージ展などで受賞。1942年十勝管内広尾町生まれ。札幌市中央区在住。


 ◆写真は壁面いっぱいの大作

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生き生きとした抽象絵画 『亀井 由利小品展』

 
 「生きるエネルギー」「魂」をテーマに生き生きとした筆勢の抽象絵画を中心に15点を発表。毎年精力的な取り組みを続けており、新春の個展だけでも連続5回目。サムホールから20号。
 油絵の具とアクリルを駆使、ぐいぐいと描き込んでいる。モノトーン調を基調にした『雲上の星』シリーズは、黒の空間に“白い星”が競い合うようにびっしり描かれ、気迫が伝わってくる。
 ブルー、グリーンの空間に真っ赤な色彩がうごめく抽象構成は、コントラストが鮮やか。その「赤」が情熱的であり、赤い花びんに白い花を思わせる具象的な作品は生命力が強調されている。
 絵の具を重ねる、ドリッピングを…という手法を繰り返し重厚なマチエール。銀箔を使った作品も。語りが秘められている。

 札幌市北区北8西1、石の蔵ぎゃらりぃはやしで9日まで。



 DSC01522_convert_20180105094842.jpg  亀井 由利(かめい・ゆり)さん
 昨年6月、郷里室蘭市で35点をそろえた自選展を開いた。25歳で二科展に入選以来40年の節目の個展だった。1995年の初個展以来個展、グループ展は数え切れない。今年も4月にグループ展、6月と10月に個展がある。1997年新道展で佳作賞。新道展、日本美術家連盟会員。室蘭栄高校卒業。1952年室蘭市生まれ。札幌市在住。


 ◆写真は油彩の『雲上の星』(20号)

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72人が思いを込めて 『ゆく年くる年´17~´18展』

 


 この1年を振り返り、迎える新年に思いを―。今回で23回目の企画展に本道在住のアーティスト72人が個性豊かな作品を発表、楽しい展示に。50×50以内のサイズ。
 油彩を中心に日本画、水彩、版画、金工、陶芸など多彩。今年の新道展で協会賞を受賞した水高和彦さん(恵庭)、道彩展代表小堀清純さん、新道展事務局長後藤和司さん、道展会員安栄容子さん(以上札幌)ら7人が初出品。阿部典英・美智子さん(小樽)夫婦も。
 具象から抽象まで幅広い。野崎嘉男さん(岩見沢)の立体作品『鏡もち』、泉修次さん(札幌)のおみくじを引くことができる『開運おみくじ』から少女が犬を抱き上げて顔を寄せる福島靖代さん(同)の油彩の『ようこそ』のように来年のイヌ年にちなんで犬を描いた作品も多くホットなムード。 会場に心和む雰囲気が広がり「2018年も明るい年であるように」と願う思いが伝わってくる。



 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで新年1月7日まで(ただし、25日、29~31日、元旦は休廊)。


 ◆写真は日本画家中野邦昭さん(札幌)の作品『子犬』

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ストーリー秘めた32点 『モリ ケンイチ個展』

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 「イブの林檎」をテーマに少女や子供がリンゴを手にしていたり、木にリンゴがいっぱい実をつけているなどの油彩32点を発表。その殆どを3週間程で描いたという取り組み。今年だけで5回目の個展。3号から130号。
 「リンゴは人生の果実。つまり存在の意味であり愛であり楽しみであり、喜びや悲しみを暗示している」と語り、広々とした大地、自然を背景にした少女や真っ赤なリンゴが語りかけるように入念に描かれている。少女は、仏像のように一見無表情。だが何かを訴えている。
 少女は、真っ赤な衣装。「キリストの衣装の色は赤と青だった」そうで西洋や東洋といった“垣根のない世界”を強調しているよう。
 大地から大木や草木が繁り生命力も伝わってくる。描く基調は具象だが心象の世界。濃密な描き込みでありストーリーが秘められている。

 札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル階スカイホールで24日まで。


 DSC01505_convert_20171222110621.jpg  モリ ケンイチさん
 「敷居を取り払った描き方です」。毎日描いている。2002年から6年間パリに留学。11年、13年に北の大地ビエンナーレで佳作賞。全道展13年、14年奨励賞、15年には70周年記念賞。個展はパリ、東京でも。ベルサイユ美術学校絵画科卒。全道展会友。1969年札幌市生まれ。同市白石区在住。


 ◆写真は油彩の『門』(100号)

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陶芸家3人が80点 『動物たちのクリスマス展』

 
 「動物のより良い生き方を考えよう」をテーマに札幌市在住の陶芸家3人が「クリスマスにちなんだ愛らしい動物を」と約80点を展示、ほほえましくホットな陶芸展に。昨年に次いで2回目の作陶展。
 3人は香西信行さん(もみじ窯)石川直子さん(霜月窯)桜井実奈子さん(桜花窯)。香西さんは毎年個展、グループ展で穴窯による作品を発表している。
 今回の動物シリーズは、来年のイヌ年にちなんだ犬を始めヒツジ、猫、ゴリラからトカゲ、フグなど多彩。それらがサンタクロースの赤い帽子をかぶっていたり、リボンを結んでいたり…高さ2㎝程から約25㎝のかわいい作品ばかり。思わず手に取ってみたくなる。作陶の多くは、手びねりの手法。
 売り上げの30%を公益財団法人北海道盲導犬協会に寄付することにしており、香西さんは「来年も開きたい」と語っている。

 札幌市中央区大通西4、道銀本店ビル・らいらっくぎゃらりぃで17日まで。


 ◆写真は数々の動物の焼きもの 

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「よき言葉」34を発表 阿部 和男書道展



DSC01446_convert_20171215153140.jpg  小児科医の作者が「よき言葉とともに」をタイトルに34点をそろえた初個展。「古希を1年過ぎたが、心を新たに誠実に希望をもって歩むために」と開いたいわば古希記念展。「ほぼこの20年間に書いた旧作、新作」という。
 作品は、調和体の漢字とかな。額装を中心にびょうぶ、折り状も。「宗教、哲学、文学、随筆など膨大な読書量の中から“よき言葉”を選び、自分を支えてくれるよう折りながら書いた」という大作、力作。
 それは最澄、空海、良寛、武者小路実篤から旧約聖書、マザーテレサの言葉など幅広い。「幸福が訪れたらそれを楽しめ…」「慈愛の心をおこし…」「その日の苦労はその日だけで…」といった“心の琴線に触れた言葉”の集大成である。
 濃墨、青墨で心地よく筆を走らせている。「私は書家ではない」と語るが、訪れるファンを魅了している。

 札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階スカイホールで3日まで。

 DSC01453_convert_20171215153305.jpg 阿部 和男(あべ・かずお)さん
 阿部小児科院長。小学校時代に書家藤根星洲氏の塾に通ったが、1990年から書道を再開。師は神戸市の書家故山口南艸氏。読売書法展、書道わか葉会長、書道草心会北海道展に発表してきた。和加子夫人も書家でわか葉会を主宰。読売書法会会友。北大医学研究科修了。1946年夕張市生まれ。札幌市南区在住。
プロフィール

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Author:chikuwapan
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『北海道を彩るアーティスト』
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