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情緒豊かに夫婦のアート展 『石田壱城と信子の書と表装展』

書家の石田壱城さんの書を表装作家で小原流1級家元教授の信子夫人が、文字に合わせて表装した作品の夫婦展。石田さんが1999(平成11)年の第30回全道書道展で最高賞の文部大臣奨励賞を受賞したのを記念して第1回展を開いて以来、今回が10回目。同時に石田さんが今月28日で満70歳を迎える古希記念展である。
「書をいかに楽しく見てもらうかです」。書道展と言うと、モノクロの世界であり、しかも書かれている文字が読めないなどある種の堅苦しさがある。だが、この書と表装展は、ひと味違う。
出展は軸装を中心に額装、パネル、屏風など大小30点(うち淡墨が7点)で、ひと文字の漢字を主体にかなの作品もあり多彩。それらが信子夫人の表装で情緒豊かに表現され、身近感が漂う。
表装は、文字の雰囲気などに合わせて着物、帯、はかま、風呂敷といった生地を活用してデザイン、優美な作品に仕立てている。各種生地は、旅行先などで買い求めている。
作品『舞』はさわやかに、『海』は波のイメージの文様でデザインされるなど気品がある。このような“夫婦のアート展”は全国的にも珍しいという。
札幌市中央区大通西3、道新ギャラリーで29日まで。
◆ 写真は、多彩な情緒豊かな作品

記念展に合わせて『自叙伝風エッセイ集・日々の旅人』を発刊した。5冊目の著書。26日に祝賀会も開かれる。作品展の隣室で指導している教室展も開かれておりお孫さんも出品。千歳中学校在学中に書家の桑原翠那の指導を受け、同氏から89歳の時に受け取った手紙を今回屏風仕立てにして発表している。1989年北海道書道展で準大賞、99年全道書道展で文部大臣奨励賞、石狩管内文団協から文化賞、01年北広島市から文化賞。北海道書道展、国際現代書道展審査会員、読売書法展理事審査会員。北広島市書道連盟会長。1940年登別市生まれ。北広島市在住。
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『生命』基調に大きなスケール 「工藤 悦子個展」

「作品のタイトルは変わってても描くテーマは一貫して『生命』です」―。1992(平成4)年の初個展以来、隔年で発表を続け今回が10回目の個展。2008(同20)年以来続けている『悠久の華』シリーズの大作6点を中心に14点を展示、神秘感を広げている。
絵の具を何層にも重ねて入念に下地を作る。「下地が出来たら50%は完成です」。その明るいベージュ系の空間に大小の花びら、あるいはチョウの羽のようなフォルムが重なり合い、うごめくように描かれている。しかも、その中に黄色系の球体がいくつも浮いている。
横5・20㍍×縦1・94㍍という大作が壁面いっぱいに広がり、さらに100号3点がセットで1点のように、その他50号、30号が展示され、会場全体が宇宙のドラマのような印象を与える。
うごめき、重なり合う花びら状が強い生命力を強調している。しかも色彩が美しい。花びら状は、デカルコマニーの手法で表現しており、微妙な変化が魅力でもある。
スケールの大きな作品である。
札幌中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで26日まで。
◆ 写真は100号3点セットの油彩『悠九の華』

「初個展以来20年になります」。絵の特別な師はいない。独学。「下地を作り上げるのが大変ですが、その間にいろいろとイメージがわいて来ます」。元々はブルー系が基調で今回も小品はブルーの作品がある。「またブルーで描きたい」。昨年11月、札幌美術展『真冬の花畑』(芸術の森美術館)に出品、今年は8月に新道展、9月に主体展がある。主体展で1994年、96年、97年に佳作作家。新道展で89年、90年、93年佳作賞、01年に札幌時計台文化会館から『かおる賞』を受賞。主体展、新道展会員。1942年旧樺太生まれ。江別市在住。
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最終展に6人が3室発表 『第40回グルッペ・ゼーエン展』

1964(昭和39)年に道学芸大学札幌分校(現道教育大学札幌校)特設美術課程および美術科専攻課程を卒業した皆さんのグループ展で、今回40回展を区切りに「それぞれが新たな目標を目指すとして幕を閉じることになった最終展。会場のA・B・C 3室に73点を出品、個性を競っている。
64年8月の第1回展のメンバーは25人だったが次第に出品者が減り、08(平成20)年の第38回展から現在の井上象元(油彩・岐阜) 多田紘一(木彫・札幌) 玉木憲治(版画・岩見沢) 西本久子(染色・札幌) 丸藤信也(油彩・同)さんと事務局の野崎嘉男さん(油彩・岩見沢)の6人に。
グループ名の『ゼーエン』とは、ドイツ語で『視(みる)』という意味。大学時代の指導教官だった鬼丸吉弘名誉教授が名付けたもので単に物を見るだけではなく「新たな世界を開いて欲しい」という意味が込められている。
美術のグループ展が第1回展以来46年間にわたって40回も開催したのは珍しく、メンバーのアートへの情熱の表れといえる。
作品は油彩、版画、木彫、染色など多彩でざん新な感覚。6人が今後どのような取り組みをみせるのか楽しみである。
札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで19日まで。
◆ 写真の作品は、野崎嘉男さんの油彩『宙シリーズ10―3』(100号)

第1回展から事務局を担当。「互いに刺激し合ってきた。メンバーは高齢者の仲間入りをしたので今後は無理をせず自然体で取り組み新たな出発点にしたい」。鬼丸名誉教授の存在が大きいという。続けている『宙』シリーズ7点を出品。9月に岩見沢美術協会展、10月に道展がある。個展、グループ展が数多くカナダ、韓国でも発表。道展で1958年新人賞、59年奨励賞、60年読売新聞社賞。81年北海道現代美術展、83年北海道の美術イメージ北方で優秀賞。道展、日本美術家連盟会員。1939年札幌市生まれ。岩見沢市在住。
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会場いっぱいに“踊る銀河” 『益村 信子個展』

「13年程前から取り組んでいます」というインスタレーションの作品を会場いっぱいに展示。『DANCING GALAXY(踊る銀河)』シリーズの5回目で、昨年9月に次いで19回目の個展。
「次々とイメージがわく」という“踊る銀河”は、今にも動き出しそうな雰囲気で表現されている。
ダークブールー系の布地のような素材が床面に長く伸び、そこにブルー系の大小の筒がたくさん林立、球体が浮き、白い透明の袋が何かにからまるように多数…さらに120号クラスのサイズのキャンバスに絵を描き、それを大きな袋状にして配置する、といった立体構成。
全長11㍍にわたって組み立てられた宇宙の世界である。色彩はブルー、白が基調で清そ。そして全体が今にも波打ち、大きくうねり出しそうなムードが会場に広がっている。
展示会場で約3時間かけてつくり上げた。しかし作者はあまり苦にならないようで「作るのが楽しい」。
宇宙の楽しいドラマをイメージさせる。現代的な感覚でもある。
札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで19日まで。
◆ 写真の作品は、会場いっぱいに展示されているインスタレーション

会場の時計台ギャラリーてせの個展は17年振りという。元々は油彩だったが、1997年に青森県で開かれた亀ヶ岡野外オブジェ展に立体作品を出品、大賞を受賞して以来インスタレーション作家に。広告のチラシ、大小の球体、紙製の筒など多彩な素材をアートに活用する。2000年に札幌で開かれたボレアス展、その後の名古屋、船橋、仙台展に出品。1998年、99年の倶知安寒別グランドアートにも出品。初個展は91年で油彩。道教育大学岩見沢校美術科卒。1954年岩見沢市生まれ。札幌市西区在住。
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113点が25回記念展を飾る 『北の日本画展』

「北海道発の日本画を」―。1986(昭和61)年に第1回展を開いた北の日本画展(川井坦代表)が今年25回展を迎えた。その記念展。『継承と革新』をテーマに会員56人の93点を始め本道にゆかりのある作家5人、将来が期待される若手作家15人の作品合わせて113点が全館に展示され、日本画の美と魅力を競っている。会期中、会員によるギャラリートーク、小学生を対象にしたワークショップも開かれた。
第1回展は『北海道日本画作家展』の名称で16人によって開かれた。2回展から現在の名称になり出品者も年々増え1996(平成8)年以来岩内町、小樽、千歳、深川の各市で移動展を開き、日本画の普及に尽力している。
今回の記念展は、過去・現在・未来を展望することを目的に岩橋英遠、片岡球子といった作家と道教育大学生、サークルで絵筆を執っている若手を招待して将来を展望しているのが特徴。
出展されている作品は、主に人物、風景を中心に多彩。現代的な感性が随所に発揮され、しかも横5・40㍍、3・90㍍、3・60㍍といった大作主義。描く情熱が全館に広がっており“北海道の日本画”新興への期待を強めている。
札幌市中央区北1西17、道立近代美術館で20日まで。
◆ 写真の作品は、事務局を担当している朝地信介さんの大作 『ゆらぎのしくみ』(2・27×3・90 ㍍)

北の日本画展の発起人で第一回展から代表。本道日本画壇の中心的な存在で今回も『想遊―カッパドキア』など3点を出品。東南アジアを中心に海外取材が豊富で1997年に中国陜西省博物館で個展を開いた。母校の道教育大学で1964年以来40年間日本画を指導、04年定年退官、現在札幌大谷大学短大部で指導している。02年に北海道文化奨励賞を受賞した。道展会員、院展院友。1939年札幌市生まれ。札幌市白石区在住。