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独自の手法で内面性追求 『井上 まさじ展』

「全国的にも私のような手法で制作している人はいないでしょう」―。筆を使わず独自の手法で仕上げた作品を会場の1、2階に出品。絵の具がうねり合うような表情と微妙なコントラストが内面の深さを印象づけている。
ドロッピングの手法。ボードに絵の具を落とし、乾いてはサンドペーパーで磨く…を執ように繰り返す。「1点仕上げるのに1~2年はかかる」という工程。表面が針のように突起状なのも特徴。
グリーン、ブルー、赤、白などの色彩が、微妙にうず巻き、反発し合いうごめいている。それは四季の表情をイメージさせる。色彩の変化と流動性は、宇宙的なドラマとも言える。
作者は「宇宙の循環性」と語り色彩が美しいのが魅力。大小17点の他に2階の12点を1組としている。
札幌市中央区南5西20、ギャラリーミヤシタで5月8日まで。
◆写真は、微妙な変化で内面性を追求した作品。

20代から独自の手法で制作。「制作しながら発見することが多い。どのようにして作品にするのかよく聞かれる」。毎年札幌と東京で個展。1996年にポーランドでも。“札幌の人”になって27年。1955年愛知県生まれ。札幌市南区在住。
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陶器の破片をアートに再生 『前田 育子展』

独自性に富む取り組みを続けている作者が『廃陶―A環』をタイトルに、ドウナツ形の陶の作品32点を床面に展示、ファンの関心を呼んでいる。大小の輪の作品が響き合うような雰囲気である。
輪の素材は、無数の陶器の破片。2006(平成18)年に江別市セラミックアートセンターで開かれた作品展『AMUSMENT』に出品した8人の陶芸家の作品を来場者に自由自在に割ってもらった。その破片を釉薬を接着剤にして組み合わせ、ドウナツ状に焼き上げた。直径20~30㌢。
8人の陶芸家と来場者の作品に対する思いを別な手法と形で再生させた独自のアート。今にも崩れそうな表情であり、思わずさわってみたくなる。角状と球体状の作品もある。
札幌市中央区南9西3、ト・オン・カフェで5月1日まで。
◆写真は、床に並んでいる大小の輪状の作品。

「何でも焼きたくなる」。粘土でドウナツ形の型を作ることから始まる。830度から900度で焼きあげた。2000年に工房を開設以来毎年のように個展、グループ展で発表。5月26日から札幌で開かれる東日本大震災チャリティー展にも出品する。1968年胆振管内白老町生まれ。白老町在住。
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22人が情緒豊かに39点 『池内流第34回春期池彩展』

水墨画・日本画の美を追求している池内流(池内北天木流師)の連続34回目の作品展。22人が6号から100号まで合わせて39点を出品、優雅な雰囲気を広げている。
キャリア2年から約30年。水墨画を中心に花鳥風月を優しく、生き生きと描いている。澄んだ墨、日本画の色彩が印象的。
秀作賞、佳作賞、奨励賞、画墨賞など9人が受賞。新人賞はキャリア2年の都了由さん。
秀作賞を受賞した山田鳳苑さんの水墨画『松林初雪』は初冬の厳しさを重厚な雰囲気で描き、画墨賞・村井竜甫さんの『山湖雨後』は情緒豊か。白荻賞・宮下紫汀さんのハマユウの
花を描いた『白南風』はリズミカル。
池内流師の大作『行春』は、画面いっぱいの石段に赤いツバキの花が散る独得の感性。日本画も含めて多くは本画仙紙に描いているが、絵絹に描いた水墨画も。
21日、札幌市内のホテルで表彰式が行われる。
札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで24日まで。
◆写真 左から2番目が池内北天木流師の大作 『行春』(100号)
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多彩な力作がファンを魅了 『第38回美工展』

北海道美術工芸協会(羽賀隆事務局長)主催の公募展。押し花、金工、染色、組み紐、陶芸、木工、和紙絵など18品目の多彩な会員、会友と入賞・入選作品86点が美と技量を競っている。訪れるファンが多い。
今年は、2006年の第33回展以来5年振りに協会賞受賞作が選ばれた。入選者27人中10代と20代が、33%を占めるなど若手の台頭が目立ち、活気に満ち、力作が多い。
木工の分野の進出が目立ち『飾り棚』で協会賞の渡辺瑞生さん(宗谷管内音威子府)は、おといねっぷ美術工芸高校3年生、新人賞・小林ちほさん(同)も同校3年生、佳作賞・千葉将寿さん(旭川)も同校卒で東海大学2年生。ともに作品は木工。羽賀事務局長は「完成度が高く、うれしい」と、若い人たちの進出を歓迎している。
会員のがんばりも目立つ。高木晶子さんの皮革工芸、宮森恵子さん、谷山豊子さんの和紙絵、佐久間弘子さん、山谷智子さんの陶芸、岩本紘子さんの押し花は力作。染色も多彩で見応えがある。
23日に受賞式と懇親会が行われる。
札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで24日まで。
◆写真は、多彩な作品が展示されている会場。
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70人がチャリティー展 『ONE ひとつに』展

東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の早期復興を願うチャリティ-展。アーティスト70人が油彩を中心に水彩、写真、陶器、ポストカードなど約200点を格安で提供している。
出品者は、札幌とその近郊在住者が多いが伊達、登別、小樽市や滋賀県、愛知県からも。美術団体の枠を超えてベテランから若手まで多彩な作品を出品している。
呼びかけの中心となった新道展の亀井由利さん(札幌)は「私たちに何が出来るかを考えた。賛同してくれる方は30人ぐらいかと思ったが、どんどん増えて…」。『ARTができる事』をキャッチフレーズにしたDMが出来上がってからも出品希望の作家がいたという。
初日から多くのファンが会場を訪れ、次々と買い求め、募金箱も置かれた。売上金は、諸経費を除いた金額を国際赤十字社を通して被災地に送ることにしている。
札幌市厚別区中央2条5丁目、デュオ2・5階、新さっぽろギャラリーで18日まで。
◆ 写真は、ファンが訪れているチャリティー展。
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『白』基調に優しくスマート 中村 裕「春の器展」

「発表して3~4年」という『白』を基調にした大小の皿、コーヒーカップなど約100点を出品。個展、グループ展は数多いが「食器展は2年に1回のペースです」。
磁器のように見えるが、そうではない。つや消しの白マップと呼ばれる釉薬を使いソフトでスマートな作品に仕上げている。
絵付けの技法。図柄はフキノトウ、ツクシ、タンポポといった草花やカワセミ、マガモなど。「工房の周辺で見られる」という自然の表情を淡いブルー系で表現している。
釉薬をかけたあとに絵付けをして焼き上げる。気品と温かさが魅力だ。
札幌市東区北25東1、ギャラリー粋ふようで16日が最終日だった。
◆ 写真は、『白』を基調にした各種器類。

「雪のように白く、しかも温かみのある作品を作りたい」。窯名は『草の窯』(ガス)。日大建築学科を卒業後京都市立工業試験場に入学、1980年から叔母の中村照子さん(札幌)主宰の『藤窯』で作陶、以来31年。1996年北の菓子器展で奨励賞、2010年おおたき北海道陶芸展で金賞など。北海道陶芸会事務局長、日本伝統工芸会準会員。1954年網走管内美幌町生まれ。札幌市南区在住。
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2人の作品と工房展に50人 『下沢敏也・多田昌代器展』

「器を中心に個展を開くのは久し振りです」という2人が『白』を基調にした大小の器類を6階の3室に展示、5階の全室には2人が指導している教室で学ぶ50人の工房展が開かれている。工房展は4年振り。
下沢さんは、北海道陶芸協会副会長で個展、グループ展が数多く、多田さんは、北海道陶芸展で陶芸協会大賞・道知事賞などを受賞しており、同陶芸展会員。
下沢さんは、本来はインスタレーションやグリーン系の識部焼の作品に個性を見せているが、今回は『白』を基調にした白磁の作品。一昨年札幌文化奨励賞、昨年2月祝賀会が開かれたが、その後取り組んでいる。
多田さんは、磁器を粘土を合わせた半磁器の手法。
大小の皿、花生、コーヒーカップなどが会場いっぱいに並んでいる。これらとは別に、下沢さんは東日本大震災を支援するため一体1000円のお地蔵さんを販売している。
工房展は立体造形作品を中心につぼ、人形、照明を生かした作品など多彩。北海道陶芸展や高齢者陶芸展に入選・入賞した人もおり個性豊かで楽しい展示になっている。
札幌市中央区南2西1、山口中央ビル、アートスペース201で12日まで。
◆ 写真は、展示されている下沢敏也さんの作品。
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31人が気迫の大作 『第60回札幌墨象会展』

札幌墨象会(島田青丘代表)の第60回記念展。31人が2室に創作の大作を発表、迫力感が広がっている。
1971(昭和46)年に第1回展を開いて以来41年目。近年は、年2回発表している。春は大作主義で30歳代から80歳代の会員が、1文字から多くて7文字を気迫の込もった筆の走りで墨象の魅力を見せている。
創立会員は12人。北海道書道展の会員8人、会友15人などキャリアが豊富。
縦7㍍といった天井に届くような大作も。東志青邨さんの『寂然』(縦4・2㍍)、菊地紀仁さんの『老婆心』(縦7㍍)、長嶋幸子さんの『風神』(縦4・45㍍)など堂々とした筆勢。息遣いが伝わってくる。
札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで10日まで。
◆ 写真は、展示されている数々の作品。

墨象歴55年。「墨象は線の長さや間を自由に表現でき、そこから芸術表現が生まれる」。会の創立時から代表。今回は『三月春風没春意』(縦7㍍)と書いた大作を発表。1999年から03年まで北海道書道連盟理事長を務めた。現在同連盟参与、北海道展審査会員、道書道教育研究会事務局長。1933年小樽市生まれ。札幌市西区在住。