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個性豊かに多彩な造形美 『抽象彫刻30人展』

今年6月に開館30周年を迎える札幌彫刻美術館の記念展。『北の作家たち』をサブタイトルに30人が多彩な造形作品を出品、豊かな個性を競っている。
閑静な住宅街の中にある同美術館は、彫刻家本郷新(1905~80年)の彫刻・絵画など約1800点を所蔵しているほか、北の彫刻展なとせ特別展を開き美術界の振興に努めている。
今回の30人展は、記念展の第一弾。「本道での彫刻・立体表現の現在を紹介したい」としてメンバーは70歳代から20歳、30歳代まで幅広く、第一線で発表を続けているアーティストが力量を発揮している。
木の造形美の阿部典英さん、ステンレスと鉄の国松明日香さん、陶の下沢敏也さん(札幌)、銅とハンダ、砂の野又圭司さん(岩見沢)、木と紙、石こう粘土の櫻井亮さん(夕張)…30人が独自の素材と手法で多彩な造形アートを作り上げている。
テーマは違っても願いや主張が込められ、見応えがある。
札幌市中央区宮の森4の12、本郷新記念札幌彫刻美術館で7月10日まで。一般300円、高・大学生200円、小・中学生無料。
◆写真は、展示されている個性豊かな抽象彫刻
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パステルで美と勢い強調 『佐藤 泰子展』

パステルで描いてほぼ20年―。続けている“さくら”シリーズと「長く心にあたためていた」という“海”シリーズを含め、120号2点を合わせた大作を中心に13点を発表。09(平成21)年に開いた自選展後に取り組んだ作品で意欲的な内容。
きれいな色彩とマチエール、大きな空間構成が魅力。特殊な水彩紙にポスターカラーで下地を作り、ソフトパステルで描くが何度も水で流す独自の手法で仕上げる。
「次第に形が無くなりエキスだけが残った」という抽象作品。“さくら”シリーズはピンク系、イエロー系やグリーン系など微妙に変化する色彩が大きく広がり、その中に響き合うような“影”が勢いを印象づけている。
“海”シリーズも静的な中に生命感が秘められている。
札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで28日まで。
◆写真は、パステルによる『波立つ…祈り』(120号)

元々は油彩。パステルは、桜の花に感動したのがきっかけという。「いかにしてしっとり感を出すかです」。個展、グループ展は数多く1993年自由美術展で自由美術賞。自由美術協会会員。女子美術大学短大部卒。1937年空知管内雨竜町生まれ。札幌市厚別区在住。
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生きる喜び描いたカーニバル 『竹岡 羊子展』

“カーニバル(謝肉祭)の竹岡”と言われている作者が『カーニバル~虚構の宴に魅せられて』をテーマに、油彩の大作51点を中心に版画など合わせて84点を展示、生き生きとした躍動感が広がっている。
1967(昭和42)年以来フランス、スペイン、スイスなどヨーロッパのカーニバルを取材、札幌、東京、郷里の静岡で発表を続けてきた。
今回は、1969年の作品から近年までをそろえ、“竹岡アート”の全容を見せている。
100号、200号というエネルギッシュな取り組み、カーニバルを楽しむ人々の表情をカラフルな色彩と勢いのある線描で展開、熱気が広がっている。そこには、生命をおう歌する喜びがあふれている。
札幌市南区芸術の森2、札幌芸術の森美術館で6月30日まで。観覧料一般700円、高・大学生350円、小・中学生150円。
◆写真は、1999年の作品『記念撮影…それから』(200号)

「祭りの輪の中にいると人間の素顔が見えてくる」。取材を続けてほぼ45年。作品の基調に生きる喜びがある。個展、グループ展は数多く全道展、独立展などで数多くの受賞。女流画家協会委員、独立展、全道展、日本画美術家連盟会員。静岡県太宰府生まれ。札幌市豊平区在住。
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力強く生き生きとした風景 『大和田 主税展』

札幌西高卒で静岡県在住の作者が本州と道内各地の風景を描いた油彩74点と水彩11点を発表。赤を基調にうねるような筆勢で生き生きと描き、気迫が伝わってくる。札幌展は隔年で開催しており11回目。
『相模湾の朝』『富士山』など本州の風景と共に『十勝岳』『美瑛』『積丹』といった道内各地を描いた作品が多い。カラフルで力強く空気感が広がっている。
制作は現場主義。「見た感動を描く」という作品は、思い切って赤を画面いっぱいに使いエネルギッシュな展開。作品『富士山』(30号)は山も空も赤。本道の『千望峠春のかみうらの』(30号)は、残雪の風景を大きなスケールで描いている。
元気、勇気を与える作品といえる。
93歳の実母和喜さんの押し花、実姉で北海道書道展会友池添葉舟さん(札幌市手稲区)の書も展示されている。
札幌市中央区大通西5、ギャラリー大通美術館で22日まで。
◆写真は、広々としたスケールの油彩『千望岬春のかみふらの』(30号)

「50年前」という札幌西高時代の作品4点も出品。毎年道内各地を回っている。9月に地元三島市、来年は東京・銀座で個展。札幌では1993年から開催。09年に画集を出版した。1943年旧満州生まれ。静岡県田方郡在住。
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明るく澄んだ空気感 『横田 章個展』

84歳だが、年齢を感じさせない明るく澄んだ色彩の油彩22点を出品。道内と海外の風景が中心。札幌展だけで28回目。
濁りのない色彩、すっきりとした空気感が魅力。海外取材が豊富でフランス、スペイン、トルコなどの風景を描いた作品が心を和ませる。フランスの『夏の運河』『パリ眺望』は、大きなスケールとソフトな色彩で情緒豊かに描いている。
水のある風景が作者の本領のよう。「長沼町方面の風景」という『池畔の桜』は、水面に映る桜の光景などをさわやかに見せている。
大ベテランの力量といえる。
札幌市中央区北3西3、大同生命ビル・大同ギャラリーで17日まで。
◆写真は、フランスの風景『夏の運河』(60号)

「海外に行かないのは南米ぐらい」という程回った。東京でも4回個展を開いている。日展の20回展に入選、白日会展でも1974年から79年まで入選。「個展は30回展まで続ける」。6月にグループ環展がある。1927年旧樺太生まれ。札幌市南区在住。
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30回目の兄弟展を多彩に 『池内北天木・駿天志2人展』

水墨画・日本画池内流の北天木流師と駿天志副流師の兄弟展。さらに実父で故南天木氏(1975年8月、80歳で他界)の遺作、北天木流師が指導している風雅の会の俳画など合わせて49点が展示され、優雅な情緒が広がっている・
兄弟展は、1982(昭和57)年に第1回展を開いて以来、今回が30回目。北天木流師は82歳、駿天志副流師は72歳になったが、年末年始返上で絵筆を持ち続けている。
額装、軸装とも水墨画が中心。澄んだ墨色、筆の勢いで主に風景を生き生きと描き上げている。
北天木流師の大作『荒磯』(100号)は岩に激しくぶつかる波の光景。力強い筆勢で画面いっぱいに描き、波の音が響いてきそう。顔彩による『陽光浪散』(20号)も荒々しい波の表情に迫力がある。
駿天志副流師の『山渓霽霧』(20号)は森閑として幻想的。故南天木氏の軸装は往時をしのばせる。
札幌市中央区大通西5大五ビル、ギャラリー大通美術館で15日まで。
◆写真は、池内北天木流師の水墨画『陽光浪散』(20号)

9歳で水墨画を始めたというキャリア70年以上。日展委員だった故南天木氏が札幌で開いた日本画研究所を引き継ぎ、1971年に池内流を興した。伝統の水墨画・日本画の普及に情熱を注いでいる。池内流流師、日本画美術協会会長、北海道日本画研究所所長。1928年東京都生まれ。札幌市南区在住。