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~北海道で活躍している作家さんたちを紹介しています~  五十嵐 恒

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協会賞は田村さんの大作 『第57回新道展』

 
 新北海道美術協会(香取正人事務局長)主催の公募展。絵画、版画、立体造形、インスタレーションの各部門の会員、会友と入賞・入選作品311点が全館に展示され豊かな感性を競っている。
 今年の総搬入数は、昨年を47点以上上回る497点で初出品者が40人も増えたという。初出品の入選者も昨年を上回り、パステル画の中平さやかさん(帯広)は、初出品で新人賞を受賞した。
 最高賞の協会賞は、田村純也さん(34)=苫小牧市新明町=のインスタレーション『魂域(こんいき)』が受賞。総重量1トンを超える石柱を組み合わせた堂々とした風格。審査で全員一致で決まった。会友推挙にも。インスタレーションが協会賞を受賞したのは03(平成15)年以来9年振り。
 会員・会友の大作・力作と共に入賞・入選の意欲作が多く好感が持てる。風景、人物を中心に描いた具象構成が年々増え色彩が明るいのも特徴。
 藤野千鶴子審査部長は「木をモチーフにした作品が非常に多い」と語り、木を通して強い生命力を強調しているのも特徴といえる。
 従来の作品から脱皮して佳作賞を受賞した中三保子さん(恵庭市)のように新たな挑戦の取り組みもあり、水彩部門の充実と共に新道展の魅力を改めて知る57回展になっている。

 札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで9月9日まで。


 ◆写真は、協会賞を受賞した田村純也さんのインスタレーション 『魂域』=中央=
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長男の成長に熱い思い 『河野 健展』

 
 「長男が誕生して以来、8年間描き続けて来た家族の絵です」―。長男、初夏(わか)君=小学校2年生=の成長の姿を中心に描いた油彩と鉛筆画をA、B2室に31点を発表。明るい色彩で描きホットな雰囲気。初個展。
 出展中50号以上が9点。0歳から8歳までの表情を優しく丁寧に描いている。そこには、作者の熱い思いが込められている。
 カスタネットで遊んでいる、両親と一緒にふとんの中、雪山で楽しく、図鑑を開いて見ている…成長して行く姿を、1人であるいは両親と共にストーリー性を秘めて描かれている。
 かつて、はいていた靴やずぼんなども。成長の記録でもあり深い愛情が秘められ心和む個展になっている。

 札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで9月1日まで。

 ◆写真は、植物に水をかける姿を描いた80号の油彩


 P1030298_convert_20120830153713.jpg  河野 健(かわの・たけし)さん
 元々は風景を描いていた。「先に構図を考えデッサンや写真を撮って組み合わせる」。2003年のサッポロ未来展の第1回展から出品、昨年の札幌美術展「Living  Art ~日常」(札幌芸術の森美術館)にも出品。札幌武蔵野美術学院講師。愛知県立芸大美術学部卒。1973年苫小牧市生まれ。北広島市在住。

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大作中心に力量競う 『第31回書究院展』

 
 書道研究「書究文化書芸院」(山田太虚院長)主催の公募展。招待審査員や顧問の皆さんを始め入賞、入選作品合わせて288点、さらに中国、韓国など海外招待の作品も展示され、力量を競っている。同時に幼稚園から高校生までの書究院学生展も開かれており見応えがある。
 1982(昭和57)年に第1回展が開かれて以来毎年開催。今年も2尺×8尺の漢字の大作を中心に創作、臨書、かな、調和体など多彩な内容。
 最高賞の道知事賞の岩崎双琴さん、大賞・札幌市長賞の中村珠苑さん、会友賞の千葉有子さん、鈴木雅友さん(以上札幌)大崎花光さん(滝川)深田智子さん(上富良野)ら多くの受賞作が書の魅力を見せている。
 主催者側では「以前にも増して丁寧に審査を進めた」と語り、26日に表彰式・祝賀会が開かれる。

 札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで26日まで。

 ◆写真は、展示されている数々の受賞作品


 P1030290_convert_20120824094831.jpg   山田 太虚(やまだ・たいきょ)さん
 書歴60年以上。札幌西高教諭時代に創設した書道研究「虚心会」の40周年展を来年1月に開く。北海道書道展、毎日書道展審査会員。月刊書道誌「書究」を発刊。岩手大学書道科卒。1936年空知管内栗山町生まれ。札幌市西区在住。

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大きなスケールで詩情豊かに 『村谷 利一風景画展』

 
 「4~5年前から取り組んでいる」という石狩川河口の風景を描いた油彩を中心にB、C2室に45点を発表。残雪の初春の光景で、海に向かって伸びる1本道が印象的。通算11回目の個展。
 空気の澄んだ空、残雪の中の1本道、森閑とした情緒…砂浜の流木や雪に囲まれた家を描いたのもあるが、大きなスケールで石狩川河口の光景を詩情豊かに展開した作品が心をとらえる。
 中心は初春の河口の風景。大作『道(石狩)』『灯台への道』は海へ向かって伸びる1本道を中心に残雪の光景を澄んだ色彩で堂々描き上げている。春の訪れを告げるような温かさもある。
 1本道は、単なる風景ではなく何かを暗示するようなストーリーを感じさせる。入念な描き込みの具象の美である。

 札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで25日まで。

 ◆写真は、雄大なスケールの油彩 『河口の残雪』(100号)


 P1030287_convert_20120824094613.jpg  村谷 利一(むらや・としかず)さん
 現場主義で具象の美を追究している。1999年札幌稲陵中学校長を最後に36年の教職生活を終えた。道展で82年佳作賞、道職員美術展で80年に特選。道学芸大学(現道教育大学)札幌校特美卒。道展会員。1938年小樽市生まれ。札幌市北区在住。

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子どもの受難訴える 『三神 恵爾展』

 
 「子どもへレクイエムです」―。昨年3月の大震災で犠牲になった多くの子どもに思いを寄せたインスタレーション、絵画・コラージュを中心に世界の子どもの受難を訴えた作品を会場いっぱいに展示。この1年間に取り組んだ作品で「100点以上はあります」。常に社会性をテーマに精力的に発表を続けている。
 今回のテーマは「死者たち、記憶の扉」。“死者たち”はすべて子ども。
 床面いっぱいに並んだ幼児から高校生ぐらいまでの靴、枯れ草に引っかかったランドセル、天井に吊り下げられた数々の洋服、壁面のコラージュは海面に浮くような少女の洋服、逆さまになった人形、死者に寄り添うように天使を意味する多数の羽…熱い思いが込められている。シリアなど世界の子どもの悲惨さを訴えた作品もあり多くを考えさせる展示になっている。

 札幌市中央区南1西11、コンチネンタルギャラリーで19日まで。

 ◆写真は、会場いっぱいに展示された作品

 
 P1030281_convert_20120816103548.jpg  三神 恵爾(みかみ・けいじ)さん
 「今、世界の子どもの受難時代です」。1昨年の個展は「廃墟」がテーマだった。常に社会に目を向けた作品を発表している。絵画のほか短歌、映画、教育評論など活動は幅広い。著書に教育エッセー集など。1952年芦別市生まれ。札幌市豊平区在住。

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孤独感、存在…内面性追求 『川上 直樹展』

 
 風景を描き06(平成18)年に初個展を開いた油彩から09年以来、孤独感や跡地という概念で内面性を追求した近作の心象作品25点を発表。50号から120号が9点という意欲的な取り組み。森閑とした余韻が広がっている。通算7回目の個展。
 「これまでの制作の区切りにしたい」―。広大な構図の風景の作品から一転して悲しみや苦悩から立ち直り新たな生命、存在感を追求した大作に取り組んでいる。
 背景に多数の子どもが犠牲になった昨年の大震災の衝撃、07年に両親を相次いで失った悲しみがある。
 作品『跡地…潮の記憶』は崩れた壁面を背景に白い少女の幅子、『二度目の夏(F町にて)』は広々とした空間にザクロやハス…残されたものの孤独感と存在感が強調され「今後どうする」と訴えている。
 深いマチエール。入念な描き込み。作品集も発刊した。

 札幌市西区山の手7-6-4-25。ギャラリー山の手で28日まで。

 ◆写真は、油彩の『跡地…国境地帯』(100号)


 P1030266_convert_20120816103334.jpg  川上 直樹(かわかみ・なおき)さん
 テーマは「存在の余韻」。「対象物と向き合い感じたことを描くことは、結果的に私の内面を見つめることです」。08年から道展に入選、09年一線美術展で新人賞、10年会友に。札幌東高から78年に中央医療技術学院放射線学科(東京)卒。道立心身障害者総合相談所医務課主査。1953年札幌市生まれ。同市手稲区在住。

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モダンなカシューの作品 『浜口 秀樹個展』

 
 「発表する人は非常に少ない」というカシューと呼ばれる合成樹脂塗料を何度も塗り重ねて制作した工芸作品。出展の23点はすべてレリーフ。円と曲線を基調に現代的な感性の秀作である。08(平成20)年以来の個展。
 カルバンと呼ばれる板に布を張り、カシューを何10回も塗り重ねるという非常に時間のかかる取り組み。黒く輝くカシューのほかに卵殻、青い透明感のアワビの貝殻さらに鈴粉、鉄球を駆使して作り上げたレリーフは非常にモダン。
 作品の基調は直線と曲線。円と円を曲線でつなぐ、クラゲのように円形がうごめく、球体が盛り上がっている、しゃぼん玉のようにふわふわ浮いている…いろいろなイメージがわき楽しくもある。
 輝く黒を基調にブルーや赤系を効果的に生かし、うねるような形状と共にリズミカルな造形美である。

 札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで11日まで。

 ◆写真は、大作の『APOLLO』(182×92㌢)=左=


 P1030255_convert_20120808104506.jpg  浜口 秀樹(はまぐち・ひでき)さん
 キャリアほぼ30年。カシューは漆とは違い自然乾燥が出来るという。全国的にもレリーフ作家は少ない。1983年に日本漆工協会から漆工奨学賞を受賞。道展で83年、87年佳作賞、91年会友賞。道展会員。道教育大学札幌分校卒。1960年宗谷管内利尻町生まれ。札幌市清田区在住。

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過去の思いを大作に 『八重樫 眞一展』

 
 「これまで歩んで来た過去には、いろいろな思いがあり、新たな出発点にしたい」―。今年3月、札幌・発寒中学校を最後に38年間の教職生活を終えた記念展。50号以上7点の大作を中心にストーリー性を秘めた油彩23点を発表。08(平成20)年以来4年ぶりの個展。
 「記憶との再開です」。学生時代から教職生活を通して多くの思い出がある。それを描いた人物と風景を通して思いを新たにしている。
 大作『雨の通り』は学生時代のアトリエ、札幌の電停や円山公園、『遥かな空より』は横たわる人物の向こうに風にゆれる木々…広々とした構図の中に雨、風、木々の風景、考え込むような人物を描き込み、過去に思いをめぐらせている。
 歩んで来た道を“風景”で再現している。しかも雨が降り、風が強い。歩んで来た過去から新たな歩みへの思いが伝わってくる。

 札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで11日まで。

 ◆写真は、油彩の『雨の通り』(150号)


 P1030249_convert_20120808103954.jpg  八重樫 眞一(やえがし・しんいち)さん
 「形にないものを絵にしています」。深いマチエールで執ような描き込み。初個展は1985年。道展で94年新人賞、95年佳作賞。2000年会友賞。道教職員美術展で95年、97年特選。道展会員。岩手大学教育学部卒。1952年札幌市生まれ。同市手稲区在住。

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個性豊かに73人 夏まつり「山」展

 
 17回目を迎えた夏まつり企画展で「山」をテーマにした作品展。73人が多彩な取り組みのやまの表情の作品を発表、個性を見せている。
 作品は50㌢×50㌢以内で油彩、水彩、版画、陶板、立体造形、金工、テキスタイル…とバラエティーに富んでいる。
 香取正人さんの『山村』、北浦晃さんの『湖畔から』、武石英孝さんの『斜里岳』など「山」と真正面から向き合った具象の作品から新出リエ子さんのヒマワリの花をいっぱいに描いた『山盛』、南雲久美子さんの『西瓜の山』、白鳥洋一さんの花火で赤く染まった藻岩山の光景などを始め、泉修次さんの小さな穴から箱の中をのぞいて山頂からの風景を見るボックスアート…個性豊か。
 美術団体の枠を超えた出品者は札幌市を中心に稚内、旭川、室蘭市など幅広く交流の場にも。
 2組の夫婦、1組の親子も。羽山雅愉さん、亀井由利さんら9人が初出品。楽しい“夏まつり”に。

 札幌市中央区南1西3、さいとうGalleryで5日まで。


 ◆写真は、川本ヤスヒロさんの油彩 『赤のピラミッド』
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Author:chikuwapan
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