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幻想的な光と闇と水と 佐々木秀明「雫の庭」展

「取り組んで19年…」という水と光によるインスタレーションの『雫を聴く』シリーズの作品を会場いっぱいに展示、幻想的な情緒を広げている。会場のガラスのピラミッド開館10周年記念展で神秘的でもある。
630平方㍍の広い室内は暗闇。しかも暖房はなく寒い。その中で天井から吊り下げられた細長いだ円状の明かり16個がゆらめき、さらに床面に大きな円を描く明かりが…だ円状の明かりは、縦2㍍もあり、暗い夜空に揺れているよう。
透明の受け皿に水滴が落ちるようになっていて、静かに聞こえてくる雫の音が不思議なハーモニーを響かせているのも特徴。
明かり、水、音…神秘の世界に引き込まれる。
札幌市東区モエレ沼公園ガラスのピラミッドで17日まで。
◆写真は、暗闇の中に浮く“光のアート”

ガラス容器に細いノズルから落ちる雫は8~15秒間隔。2月2日にはトークも。発表は数多く東京、青森などでも。1昨年は釧路芸術館で大規模な個展を開いた。今年も個展、グループ展がある。筑波大学芸術専門学群総合造形コース卒。1958年東京都生まれ。札幌市北区在住。
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17人が個性豊かに 『第30回大洋会道支部展』

全国公募の美術団体、大洋会に出品している本道在住の会員10人を中心に支部展に協力出品している5人を含め総勢17人が出品。1984年に第1回展を開いて以来連続30回目。昨年の東京本展に出品した100号の油彩を含めて44点が美を競っている。
基調は具象だが、心象性を強め風景そのものと向き合った作品は殆どない。昨年の本展で最高賞の大洋会賞を受賞した中村香都子さんの『北緯43度SAPPORO』は、窓辺からの札幌の風景を立体感と共に明るく描き、一昨年大洋会賞を受賞している岡田和子さんの『薫る窓辺』は、やはり札幌の街並みを洗練された色彩と大きなスケールで描いている。
個性豊か。道支部長原田富弥さんの『長崎暮色』は、重厚な情緒。
熊谷富子、手塚陽子、豊岡猛さんが登別市在住以外は全員札幌市在住。
今年9月に本展の35回記念展が東京都美術館で開かれる。
札幌市中央区北3西3、大同ギャラリーで29日まで。
◆写真は、原田富弥さんの『長崎暮色』(100号)
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流麗なかなの作品 『阿部 和加子書作展』

かな文字の気品と美しさを追及し続け、「6歳で習字のけいこを始めて以来60年」という作者が、すべて料紙に筆を走らせた作品63点を発表。優雅な情緒が広がっている。昨年11月末に神戸市で開いたのに次ぐ個展で札幌では初めて。
“慈しみと祈りの歌を”をテーマに萬葉集を代表する歌人の大伴家持、山部赤人などから若山牧水、北原白秋といった代表的な歌人や詩人の作品を書いた屏風の大作、額装、軸装、巻子を会場いっぱいに展示。
淡いグリーン、オレンジ、黄色系といった料紙に流れるように、しかもリズミカルに筆を走らせ、かな文字の美しさ、魅力を存分に見せている。
『和加子のかな』とも評され、文字が優しく、生き生きと舞うような筆勢である。かな文字が持つ流麗さと意味合いを改めて考えさせている。
札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階スカイホールで27日まで。
◆写真は、展示されている大作の屏風など

故松本春子、神戸の故山口南艸氏に師事。主宰のわかば会、山口南艸とその門流展、草心会展で数多く発表。初個展とは思えない。札幌の他秋田でも指導。日展会友、読売書法展理事、北海道書道展会員、草心会副理事長。藤女子大学卒。1947年札幌市生まれ。同市南区在住。
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82人が大作を発表 『創立40周年第20回虚心会展』

書道研究「虚心会」(山田太虚会長)が1971年に創立、74年に出品者35人で第1回展を開いて以来、今回が20回目の記念展。82人が濃墨の漢字を中心に近代詩文、かななど大作を発表、豊かな情緒を広げている。
第15回展までは毎年開催、以後5年毎に発表を続けてきた。「古典を学び、そこから自分の書を創造する」が基本。20歳代から90歳の横山華水さん(釧路)まで創作と臨書の競作に。愛媛県、東京からも出品。
篆書体、草書体、行書体など多彩。毎日書道展審査会員5人、北海道書道展は7人えりレベルも高い。
作品に出品者の顔写真が展示され、親近感のわく展示になっている。
札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階スカイホールで20日まで。
◆写真は、出品されている多彩な作品

年末年始返上で取り組んだ。大作『圓妙』と折り帖を発表。07年に東京と札幌で6回目の個展・古希記念展を開催。09年、10年に北海道書道連盟理事長。11年に北海道文化団体協議会芸術賞受賞。北海道書道展、毎日書道展審査会員、書究文化書芸院院長。1936年空知管内栗山町生まれ。札幌市西区在住。
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大作、力作1463点 『第44回国際現代書道展』

国際書道協会(小原道城理事長)主催の公募展。本道最大規模の書道展で最高賞の文部科学大臣賞を受賞した安永掃城さん(札幌)の大作から一般入選作品まで1463点が展示され、圧巻。中国、台湾、アメリカなど海外からの出品も30点。国際色に富んだ書道展になっている。
1970年に全道書道展として公募85点からスタート、以来着実に規模を拡大し「書道芸術を世界に発信したい」として2010年の第41回展から現在の名称に。
今年は応募総数が海外からの作品を含め1781点も。審査をクリアした最高賞の受賞作を始め中華人民共和国駐日本国大使館賞、青沼秀鳳記念賞、大賞、準大賞など多彩な受賞、入選作品がファンを魅了している。20日午前10時から上位入賞者による席上揮毫会も開かれる。
札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで20日まで。
◆写真は、左側が文部科学大臣賞を受賞した安永掃城さんの作品

「書道文化を世界に発信したい」。中国との文化交流に尽力、訪中は50回以上。開催中の書道展の函館移動展を3月に開き、同時に15回目の個展も開く。2010年に北海道文化賞、昨年地域文化功労者文部科学大臣表彰を受けた。北海道書道協会理事長、毎日書道会評議員。1939年空知管内栗山町生まれ。札幌市中央区在住。
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個性豊かに油彩17点 『亀井由利・柴崎康男2人展』


共に新道展会員で「35年になる」という旧知の仲の2人が、合わせて17点の油彩を発表。具象を基調にしながらも亀井さんは抽象画、柴崎さんは風景を堂々としたスケールで描き、違いを見せている。
亀井さんは、公募展ではモノクロ調の抽象構成の大作が中心。今回も銀ぱくを使ったモノクロの作品もあるが鮮やかな色彩のコントラストの作品が人目を引く。作品『赤い闇』『街』は、赤と黒の色彩が印象的であり、しかも空間の生かし方が効果的。
柴崎さんは、画面いっぱいにひしめき合うような港の船と冬の『地球岬』など風景を深い質感で力強く描き上げている。「冬が好き…」で白を生かしながらもブラックブルーが自然の厳しさを強調している。
港の船が重なり合うように描いた『暗い港』は重厚なタッチ。空気感が伝わってくる。
共に精力的な取り組み。3月に亀井さんは北広島、柴崎さんは札幌で個展を開く。
そろって1952年室蘭市生まれ。亀井さんは札幌市、柴崎さんは伊達市在住。
札幌市北区北8西1、石の蔵ぎゃらりぃはやしで15日まで。
◆写真は、亀井由利さんの油彩『咲く』(8号)=左=と柴崎康男さんの『暗い港』(50号)=右=