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~北海道で活躍している作家さんたちを紹介しています~  五十嵐 恒

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絵のような造形美 『土橋 陶媛展』




 「粘土を使って美術的な造形を深めたい」―。2003年に札幌市から空知管内由仁町に転居、新たに「UNI―絹窯」を開窯、05年から札幌で毎年個展を続け今回が10回目。その記念展。ユリやスイセンなど数々の花を文様化し、日本画を見るような美しい作品をそろえている。1981年、札幌市手稲区に「絹窯」を開窯して以来35年でもある。
 象嵌の手法による大皿、下絵付けの手法の壁掛け、金彩練り込みの小鉢や湯のみ、あるいは辰砂の花びん…美しい造形美の作品がいっぱい。
 象嵌の手法の大作は、絵のようにボタンを表現、下絵付けの手法による『草花図壁掛』はスイセンやユリを色彩豊かに…など非常に手の込んだ取り組み。
 何種類かの粘土を練り込み、波紋様を表現した作品もあり”焼き物″とは思えない気品と美しさである。
 特別な師はいないが、かつては道展で佳作賞、会友賞を受賞。伝統工芸作品賞、北の菓子器展などに入選。ご主人も陶芸家で由仁町には美術館ぎゅらりーも。「開窯50年までは続けたい」。空知管内上砂川町生まれ。

 札幌市中央区大通西5、大五ビル・ギャラリー大通美術館で11月1日まで。


 ◆写真は大作の『牡丹紋象嵌四方皿』(49×49㌢)
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記念賞は佐藤さんの工芸 『90周年記念道展』

 
 本道の公募展の最後を飾る道展(北海道美術協会・澤田範明事務局)が、今年創立90周年を迎え日本画、油彩、水彩、版画、彫刻、工芸の6部門に入賞・入選作品270点と会員、会友作品合わせて577点の大作、力作が展示され、訪れるファンを魅了している。
 一般応募数が昨年を74点上回り事務局では「例年以上に意欲あふれる作品が出品され、作者のねらいを生かすための工夫がされている」と語り、年齢も水彩で16歳の入選から油彩で80歳代で新会友になった方まで幅広い。
 その中で最高賞の90周年記念大賞は、初出品の道教育大学岩見沢校大学院生佐藤歩惟さん(24)=岩見沢=の工芸『spring stove』が受賞した。高さ1・20㍍の鉄のストーブ。「鉄を加工しストーブの機能と共に多くの装飾とも調和し温かさと優しさを伝えている」と評価された。
 協会賞は、札幌大谷大学4年生山崎愛彦さん(21)=札幌=の油彩『face』(150号)。白を基調に人間と動物を組み合わせた独特の作品。初出品で新人賞、2年目で佳作賞、今回が協会賞と、3年連続の受賞となった。
 佳作賞22人、新人賞9人、会友賞は11人が受賞した。

 札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで11月1日まで(19日、26日は休館)。12月1日から釧路、帯広、伊達、北見市で順次移動展が開かれる。

 ◆写真は佐藤歩惟さんと受賞作品。背景に見えるのが山崎愛彦さんの油彩(左側)

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多彩な力作114点 『第30回記念北の日本画展』

 
 「北からの自由な発想と創造性豊かな日本画を」―。1986年に会員16人で第1回展を開いて以来、今回が30回記念展。第10回展から記念展を5年毎に開いており、これまでに最も多い65人が114点の力作・大作を出品、日本画の魅力を堪能させている。
 一人一点から3点。その作品は風景、人物、花をはじめ伴野百合野さんの縦5・20㍍×横3・50㍍の大作、城下八重子さんの軸装、駒澤千波さんのトラ、ウサギ、ネコ、ライオン、谷地元麗子さんのネコ、上杉かほりさんのカバといった動物を描いた作品、上野秀実さんの発泡スチロールによる立体的な構成など多数。
 「洋画と日本画の区別、敷居が無くなりつつあり、画材について理解を深める必要がある」として「科学の視点から日本画に迫る」を企画、会場に岩絵の具の原石の展示、胡粉の製造工程をパネルで展示しているなどのほか、24日午後1時から講演会も開かれる。
 一般500円、大学・専門学校生300円、高校生以下と65歳以上無料。

 札幌市中央区北1西17、道立近代美術館で25日まで。


 ◆写真は多彩な日本画が展示されている会場

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会場いっぱいに優雅な力作 北海道テキスタイル協会作品展

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 「生活に密着したテキスタイルを」と、北海道テキスタイル協会(戸坂恵美子代表)が1984年設立されて以来、今年が31回目の作品展。会員50人のうち31人が多彩な技法による作品を会場いっぱいに展示、技と美を競っている・
 テキスタイルとは「織り物」「繊維」の意味だが、同協会は生活に根を下ろしたテキスタルデザイン、テキスタルアートの創造とその在り方を追求している。
 シルク、羊毛などを素材に染める、織る、刺しゅうといった数々の技法を駆使して仕上げた力作はバラエティーに富み、優雅な情緒。
 作品は帯地、着物の生地、額装、間仕切り用など数多く色彩も優しい。それらを壁面をはじめ床面に、さらに天井から下げるなどして展示、会場は文字通りテキスタルアートに。
 出品者は、20歳代から「60歳代から始めた」という92歳の佐々木栄久子さん(札幌)まで幅広い。

 札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階スカイホールで11日まで。


 ◆写真は数々の力作が展示されている作品展

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多彩な油彩18点 美術文化北海道支部展

 
 毎年5月に東京で全国公募展を開いている美術文化協会展に出品している本道在住作家の第43回展。会員から会友の11人が合わせて18点の油彩を発表。今年の本展で準会員だった久保田年子さん(函館)が新会員に。
 同文化協会は独立展、二科会の前衛作家が中心になって1940年に第1回の公募展を開いて以来75年の伝統を誇っている。絵画、デザイン、彫刻の3部門だが道支部展は絵画だけ。
 作品は多彩。きれいな色彩で女性像を描いた関口幸子さん(函館)の具象から今年の新道展で佳作賞を受賞した三浦恵美子さん(苫小牧)の『カミノオツゲ』、和田仁智義さん(十勝管内芽室町)の『福島の悲しみ』、道支部長鈴木秀明さん(函館)の『骸』などストーリーを秘めた大作、さらに柳川育子さん(札幌)、三浦恭三さん(小樽)らの抽象作品までバラエティーに富んでいる。
 豊かな個性の競作である。

 札幌市中央区北1西3、札幌時計台ギャラリーで10日まで。


 ◆写真は柳川育子さん(札幌)の油彩『漂う』(100号)

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自然の草花を明るく丁寧に 『高橋 英生水彩画展』

 
 2003年に札幌市から稚内市の酪農家の離農跡地にアトリエを移して12年―。82歳のベテランが「自然と生きる」をテーマに水彩画16点を発表。水彩画とは思えない入念なマチエールと透明感のある描き込み。札幌市中央では2010年に油彩展を開いて以来の個展。
 「みんな家の周りに咲いている」という数々の花を描いた作品を中心に『吹雪のあと』など冬景色とイタドリの紅葉の表情。
 透明、不透明の水彩絵の具で入念に描き込んだ花の表情の作品が魅力。深く明るいグリーンの葉が画面いっぱいに揺れるように広がる中に野菊、ウツギ、コスモスなどが赤、白、ピンク、黄色の色彩で浮き出るように表現されている。そのコントラストが鮮やか。
 丁寧な描き込み。水彩画だけをそろえたのは今回が初めて。点描のような手法のグリーンの広がりが特殊である。

 札幌市中央区南9西6、QALLERY創で11日まで。

 ◆写真は水彩の『うつぎ』(39・3×50・6㎝)


 P1060485_convert_20151002202748.jpg  高橋 英生(たかはし・えいせい)さん
 1976年にパリに行ったのをはじめ渡仏は数回。洗練された色彩に定評がある。初個展は1975年。北海道現代美術展、札幌アブァンギャル度ドの潮流展など多数に出品。1997年にはカナダでも。「体調と年齢のこともあり油彩はしばらく休む」という。1933年稚内市生まれ。同市抜海村在住。

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歩みを色彩で示す 『池田 緑展』

 
 「私の人生の歩みを作品にしました」―。「地球 私の居場所」をテーマに1943年、当時の朝鮮(現北朝鮮)で誕生以来72年の人生を色彩で表現した独自のインスタレーション。現代アートの分野でゆたかな感性を発揮しており、今回も意欲的な取り組みである。
 実父佐々木秀一さんの赴任先であった朝鮮半島で誕生、46年に博多に引き揚げてきた。以来秋田、札幌、後志管内余市、帯広、釧路などで生活、美術の研さんでアメリカやドイツにも。その歩みを朝鮮時代は黒、札幌はワインカラー、釧路は黄色、帯広はグリーンなどと色分けしている。
 長さ1㎝、直径6㎝の透明のアクリルパイプの中に色分けし、転居した年月日を打ち込んだプラスチックテープをぐるぐる巻きにして入れてある。それを横に並べ、全7・50mにわたり手前から上がり板状にそろえている。
 さらに今年100歳の実母柳さんや実父、作者が誕生したころの写真などもあり、文字通り”人生″を語っている。

 札幌市東区本町1-1、茶廊法邑で4日まで。

 ◆写真は歩みを色彩で表現したインスタレーション



 P1060492_convert_20151002202646.jpg  池田 緑(いけだ・みどり)さん
 「わが家のルーツを調べるのに2年かかりました」。これまでに20個所移動、そこに住んだ年月日をテープに打ち込んでいる。元々は油彩だったが90年代半ばから現代アートの分野に。精力的な取り組みで「1月半に1回は発表しています」。札幌だけで今回が3回目。12月には道立帯広美術館でも。平原社会員。道教育大学釧路校卒。小博氏在住。
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Author:chikuwapan
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『北海道を彩るアーティスト』
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