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~北海道で活躍している作家さんたちを紹介しています~  五十嵐 恒

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優しいロマンの世界 『湊 征一郎展』



 20歳代で亡くなった詩人、金子みすゞの詩に合わせた絵を描き、さらに作者自身が思いを寄せた詩を添えた「金子みすゞの世界展」をタイトルに32点を発表。そのほかに30点を展示。指導している生徒の作品もそろえ、ほのぼのとした情緒に。
 作品は、ポリプロピレン(PP)孔版画。薄いフィルムをカッターナイフで切って切って絵を作り、3~4枚重ねて化粧用のパフで彩色する、という独自の手法。色彩が優しいのが特徴。
 少女が空を飛んでいる、七夕飾りの舟が海を行く、夕焼け空を見る少女…心温まるほのぼのとした世界をストーリーを込めて描き込んでいる。
 「用品などは100円ショップで購入でき、版画特有の面倒な道具は不要」という。作品は、幻想的とも言え優しい夢とロマンの世界である。

 札幌市中央区大通西5、大五ビル・ギャラリー大通美術館で7月2日まで。

 ◆写真は展示されている数々の作品


 DSC01037_convert_20170630153227.jpg  湊 征一郎(みなと・せいいちろう)さん
 元々は油絵。公募展で入賞、入選していた。2004年にPP孔版画を考案、札幌孔版画会を設立、代表に。指導しておりファンが多い。「誰もが気軽に取り組めます」。学生時代に詩を書いていた。9月にも個展を開く。1941年留萌管内苫前町生まれ。札幌市中央区在住。
 
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さまよう2000体 『艾沢 祥子展』

 


 作品は、インスタレーション、ティッシュペーパーをろうで固めた“白い人間”が、行く当てもないように床面にびっしり展示されている。その数2000体。「さまよう多くの難民に思いを寄せて取り組んだ」という作品で、テーマは『My friend』。札幌では2年振りの個展。
 広く暗いスペースに高さ10㎝から15㎝の“紙の人間”が暗い会場でうごめいている。荷物を背負っている姿も。
 これから何処へ行こうか、という光景。
 「テレビで難民の姿を見てこの1年間で作り上げた」という。厳しい環境の中で、救助隊が助けを求める人たちに「My friend」と声をかけたということから作品のタイトルに。
 暗い壁面に“白い人間”の影も映し出されている。さらにデジタルプリント、インクジェットプリントによる黒い影の作品も。


 札幌市東区本町1条1丁目、茶廊法邑で7月2日まで。


 ◆写真は床面に展示されいてる多数の人々


 DSC01017_convert_20170625111020.jpg  艾沢 祥子(よもぎざわ・しょうこ)さん
 元々は版画家。その後インスタレーション、クレヨンや鋭筆によるドローイングなども。今回のようなティッシュペーパーを使った制作は10年に。個展、グループ展は数多く個展は東京、岡山、金沢、京都などでも。2014年に北海道文化奨励賞。1995年、97年にニューヨークで研修。1949年空知管内由仁町生まれ。札幌市在住。

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優しく気品の「白の世界」 中村 裕作陶展


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 「10年ぐらい続けた」という『雪原』のシリーズ、そして「昨年から…」の『白樺林』をモチーフにした『白の世界』の作品約100点をそろえ、優しい気品が広がっている。札幌と東京で隔年で個展を開催、今回の三越だけでも18回目。陶芸のキャリア40年。
 作品は大小の花器、つぼ、皿、マグカップ、陶板など多彩。それらは清そな白、淡いブルーが基調。白樺林を表現した『樹林文花器』、白い世界に月が浮く『月下雪原大皿』、渓雪や流氷文の陶板…ソフトで水墨画の世界をイメージするような上品さである。
 白樺林や流氷などの文様は、素焼き状の時にマスキングテープを張り、スプレーで釉薬をかける…という手法。ガス窯で1230度まで上げる。「いかに奥行きのある作品に仕上げるかです」。白樺林、雪の世界の変化する表情を美しく、優しく捉えている。

 札幌市中央区南1西3、三越9階ギャラリーで26日まで。

 ◆写真は、白を基調にした数々の作品


 DSC01014_convert_20170625110913.jpg  中村 裕(なかむら・ひろし)さん
 散歩をし自然を観察している。1982年札幌市南区滝野に築窯、その後91年に駒岡に移築。窯名は草の窯。個展は86年から三越、95年年から東京で。おおたき北海道陶芸展で金賞、現代茶陶展で優秀賞など多数受賞。北海道陶芸会会長。1954年網走管内美幌町生まれ。札幌市南区在住。

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力作、大作が481点 全道展

 
 第72回全道展(全道美術協会)が始まり一般応募の入賞・入選者、会員、会友の作品合わせて481点が展示され、迫力感が広がっている。最高賞の全道美術賞は、札幌市東区の公務員、木村麻衣さん(22)の絵画『バッコスの信女』(150号)に。昨年版画で入選しているが、絵画は初出品だった。
 絵画、版画、彫刻、工芸の4部門に490点の応募があった。このうち29点が入賞、206点が入選した。
 事務局では「丁寧に慎重に時間をかけて審査に審査をした」と語り、入選者は北海高校3年伊田光里さんから88歳の小野健壽さん(共に札幌)まで幅広い。80歳代が14人という。
 協会賞を受賞した木村さんは、道教育大岩見沢校4年だった昨年、学生美術全道展で全道美術協会賞を受賞している。
 今回の受賞作は、ギリシャ神話からの取り組みでコラージュと油絵の具、アクリル絵の具で描いた大作、悲劇的な雰囲気を感じさせる。
 力作、大作がびっしり展示されている。抽象、心象性の強い作品の中で会友長尾宇多子さん(旭川)の『風景(美瑛)』、佳作賞佐々木剛さん(札幌)の女性像『戸口に立つ』など具象的な作品も。新会員に5人、新会員に8人が推挙された。

 札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで25日まで。

 ◆写真は左側の壁面の作品が木村さんの大作

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気品と風格の器類 『剣吉 雄也陶展』

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 公募の北海道陶芸展で独自のオブジェの作品で受賞しているのが、今回は「使ってくれる人が毎日楽しくなれば」と器類約60点を出品。初個展。1987年釧路市生まれだが、埼玉県上尾市在住。
 大小の皿、ポット、徳利、一輪差し…それらは使う釉薬、技法により多彩な造形美と色調、輝きをみせている。黄金色に輝くようなブロンズ釉のボウルや一輪差し、淡い茶系のチタン釉の茶わん、しま模様状が表現されいるつぼ、焼き締めの花器…落ち着いた気品と風格である。
 カラフルな紋様は一切ない。黄金色の器類は神秘的でもある。しま文様のつぼは、大きいので高さ約40㎝。
 北海道陶芸展で2010年に奨励賞を受賞以来道教育長賞、会友賞、昨年は文部科学大臣奨励賞を受賞。13年に札幌市から埼玉県へ。道芸術デザイン専門学校卒。北海道陶芸展会員。

 札幌市中央区大通西23、ギャラリー円山で16日まで。


 ◆写真は展示されている数々の作品

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17人が具象の美 『グループ環展』

 
 具象の美を基本に「会派を超えて結集し、見てくれるファンに親しまれ温かい和を広げる展覧会を」と、2000年に第1回展を開いて以来今回が第18回展。17人が油彩を中心に水彩画も含め34点を発表、初日から多勢のファンが訪れ、1000人は超えるとみられている。
 第1回展からのメンバーは中吉功、香取正人、中村哲泰さんの3人。今回から新たに油彩の安達久美子さんが加わった。
 出展は1人2点。道内各地と海外の風景を描いた油彩を中心に女性像をメーンにストーリーを秘めた取り組み、静物…など多彩。香取さんの『石狩浜・冬』、北山寛一さんの『アッシジ風景』、中村さんの花のある風景『とどまることのない生命』、佐藤光子さんの女性像『春の画室』など全作品が具象絵画の魅力を見せており、訪れるファンの足を止めている。
 11日午後2時からギャラリートークも開かれる。

 札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階スカイホールで11日まで。


 ◆写真は中吉功さん油彩『風舞うころ~八剣山』(30号)

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大作中心に具象の美 白日会北海道支部展

 
 具象絵画の美を追究している伝統の白日会の第51回道支部展。東京の本展は、今年3月第93回展が開かれ、その本展に出品した大作の油彩を中心に水彩、パステル画合わせて23点のほか本部からの賛助出品と今年7月、96歳の生涯を終えた川村正男さん(札幌)の遺作も展示されている。
 3月の本展では塚原貴之さん(江別)が準会員、横山文代さん(小樽)が会友に推挙され、パステル画の伊藤ひとみさん(札幌)が初出品で入選した。入選者は5人だった。
 「会員から入選者の作品を見てもらいたい」のが道支部展の目的。出展は風景を中心に女性像、静物も。風景は会員芳賀文明さん(美幌町)、準会員関建治さん(恵庭)、会友中村富志男さん(清水町)らの本道の山、海などを中心に描いた雄大なスケールが魅力的。小堀清純さん(札幌)の静物の水彩画も入念な描き込みである。いずれも見応えがある。

 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで4日まで。

 ◆写真は会員中矢勝善さん(札幌)の油彩『初冬』(100号)

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抽象画の大作から猫の絵も 『後藤 和司展』

 
 抽象画に取り組んで30年余―。100号3点を組み合わせた『River』、2点の『見つめる時間』シリーズの大作を中心に26点、さらに「楽しんでもらいたい」と、猫を描いた19点を発表、多彩な展示に。個展は1昨年に次いで5回目。
 「抽象画の基本は色、形、線であり、詩、音楽、自然現象が発想の元になる」。3点セットの大作は、純白の雪を思わせる白い空間を横切るように川の流れが走り、グリーン、ブルーを基調にした2点セットの大作は、深い内面性を追究している。
 アクリル絵の具で入念な描き込み。『春の奏』のシリーズはメロディーが聞こえてきそうであり『軌跡』のシリーズは洗練された色彩の中を走る自在な線が響き合っている。
 猫の具象画は楽しい。市電の線路を横切ったり、港を眺めていたり…ホッとする雰囲気である。

 札幌市北区北9西3、ギャラリーエッセで4日まで。

 ◆写真は100号3点の大作『Rivert(冬の日に)』


 P1070926_convert_20170604105332.jpg  後藤 和司(ごとう・かずし)さん
 「今回が絵かきとしての出発点です。抽象画の楽しさ、良さを感じて欲しい」。これまでは勤務しながらだったが、2年前から本格的に。猫は7年前から自宅に。1980年新道展に初出品、90年会員。2015年から新道展事務局長。道抽象派作家協会同人。道教育大学札幌校卒。1952年札幌市生まれ。同市豊平区在住。
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Author:chikuwapan
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