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~北海道で活躍している作家さんたちを紹介しています~  五十嵐 恒

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清そで上品に 『金子 しおり陶展』

 

 「秋の気候のようにさわやかで澄んだ空気感のような作品を」―。白を基調にした数々の家庭用食器を中心に55点を出品。清そで気品に富んでいる。初個展。
 公募展への出品作はオブジェが中心だが、今回は大小のカップ類、ボウル、茶わんなどからブローチまで多彩。いずれも白地にグリーン、ブルー系の釉薬を吹きつける手法で作陶、明るくさわやか。
 信楽町(滋賀県)産の白粘土を使い電気窯で1240度まで上げて焼成する。「ここ2ヶ月程で仕上げました」。グリーン、ブルーの淡い色合いが基調の白と調和、上品な作品に。思わず手に取ってみたくなるような澄んだ美しさである。

 札幌市中央区大通西23、ギャラリー円山で31日まで。


 DSC01384_convert_20171028150947.jpg  金子 しおり(かねこ・しおり)さん
 中学校時代はデザイナーを目指して札幌の専門学校に入学後陶芸の道へ。2013年から陶芸の講師に。15年道展U21で優秀賞、北海道陶芸展で道火災共済組合賞、16年中西印刷株式会社賞、日本陶磁協会現代陶芸展で奨励賞。北海道陶芸展会友。道芸術デザイン専門学校卒。1993年苫小牧市生まれ。札幌市在住。

 ◆写真は清そな作品『ボウル』
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生命力と気迫の大作 『中谷 有逸展』

 

 十勝地方美術界のリーダー的存在である作者が、2006年から続けている版画16点を発表。このうち13点が80号という大作。重厚で生命力に富んだ気迫の筆勢である。
 『碑・古事記』のシリーズ。『古事記』を熟読しイメージを膨らませている。当時も今も人間のやっていることはそんなに変わらない。古事記に秘められた物語を独自の感性で大作に。
 それは抽象構成。しかも木炭粉、石粉、樹肥による自家製の絵の具と油絵の具、アクリル、鉄粉などを駆使して仕上げた独自のアート。「版を使って油絵…」と語り深いマチエールで動的な世界。
 一面に溶けた鉄を流したようなボリューム、白と茶の帯状がひしめき合う、あるいは赤、ブルー、鉄色の3色の帯状が天空に競り上がる…そんな数々が『生命』を強調している。タイトルの『碑』には「生きてきた証しを残しておきたい」という思いが込められている。

 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで29日まで。


 DSC01377_convert_20171028150811.jpg  中谷 有逸(なかや・ゆういつ)さん
 22歳からほぼ毎年個展。グループ展で発表。開催中の道展にも出品中。芽室町で閉校になった小学校で制作。一度に10点を床面に置いて制作する。1996年十勝文化賞、99年帯広市文化賞受章。モダンアート協会、道展、道版画協会、平原社各会員。1936年札幌市生まれ。帯広市在住。

 ◆写真は『碑・古事記』シリーズの作品(80号)
 

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協会賞は嶋﨑さんの油彩 第92回道展

 

 芸術の秋を彩る道展(北海道美術教育)が始まり会員、会友、この1年間に亡くなった方の遺作、一般入選作品合わせて558点が展示され美の魅力を競っている。最高賞の協会賞は札幌大谷大学4年、嶋﨑由真さん(21)=札幌市=の油彩『滲出(しんしつ)』(130号)に。
 日本画、油彩、水彩、版画、彫刻、工芸の6部門に油彩の244点を始め合わせて444点の応募があり261点が入選した。応募者の最高齢は87歳、最年少は15歳の高校生だった。事務局では「油彩は丁寧に描き込み仕上げる作品が主流になりつつある。水彩は大半が60歳以上がが占め、版画は年齢、版種、技法が多岐にわたっている」と語っている。
 嶋﨑さんは一昨年の初出品で入選、昨年は佳作賞を受賞。今回の受賞作は「自分の気持ちを言葉で表現するのは苦手なので」と。自画像の口に水道の蛇口を当てて意志を伝えようという思いを込めた内容で「独得の世界を高い感性で表現している」と評された。
 佳作賞は21人、新人賞9人、会友賞は13人が受賞、新会員に9人、新会友に16人が推挙された。
 全館に大作、力作がびっしり展示され迫力感が広がっており、初日から多数のファンが訪れている。11月21日から釧路市立美術館、帯広市民ギャラリー、北網圏北見文化センターで移動展が開かれる。

 札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで11月5日まで。

 ◆写真は協会賞を受賞した嶋﨑由真さんと作品

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美と気品の80点 『尾形 香三夫陶芸展』

 

 「取り組んで34~5年」―。独自に研究し、つくり上げた『練上(ねりあげ)』の技法による大小の花生、壺、皿、水指などからペンダントまで約80点を出品。今年7月に東京・銀座で個展を開き、11月には大阪でも…という精力的な取り組み。
 美しく気品に富んでいる。白粘土に練り込み用の顔料を混ぜて色粘土を作り、それを組み合わせて文様をつくり上げる、という手法。「こういう作品を作る陶芸家は他にはいないでしょう」。
 ブルーの濃淡、あるいは茶系の濃淡が白色調と微妙に重なり調和しながらうず巻き状に文様が表現されている。リズム感に富み、見ているだけで心地よい。輝きを抑えているのも特徴。
 器として使うより飾っておきたい…そんな気品と美しい数々の作品である。

 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで22日まで。


 DSC01343_convert_20171019101431.jpg  尾形 香三夫(おがた・かみお)さん
 窯名は『混沌窯』(電気)。30歳から独学で陶芸を始めその5年後ぐらいから練り上げの手法に。個展、グループ展は数え切れない。ニューヨークでも発表。益子陶芸展で審査員特別賞、現代茶陶展でTOKI織部銀賞、日本陶磁会展で現代陶芸奨励賞など多数。1949年岩見沢市生まれ。同市在住。

 ◆写真は『練上鎬壺“空”』(横19・5×高さ19・0㎝)

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植物の生命力軽快に 『宮崎 むつ展』

 

 「1本1本の植物の強さ、咲く花の美しさに魅了されるのです」。『私の庭“小さな森”』シリーズの油彩21点を発表。濃いブルーと赤系の空間に植物が飛び交うリズミカルな表現。2014年に次ぐ39回目の個展。
 「私の庭にはたくさんの花が咲き、気が伸びており、元気をもらってます」。取り組んで6年目という「私の庭」シリーズは上から、下から、横から細い線が飛び交い、小さな点が響き合い舞うように描かれ心地よいリズム感が広がっている。
 「小さなささやき」「種子」などのタイトル。ブルーの空間が基調だが赤系も。季節感の色彩だろか。
 油彩とボールペンで入念に下地をつくり、それを床面に置き絵の具をたらすように表現して行く。細い線の走り…植物が風に舞っているような心地よさであり、生命力の喜びさえ伝わってくる。

 札幌市中央区南5西20、ギャラリーミヤシタで22日まで。


 DSC01340_convert_20171014103117.jpg  宮崎 むつ(みやざき・むつ)さん
 「私の庭から元気をもらっています」。初個展は1970年東京で。その後も東京、札幌で開催。グループ展も多数。69年学生全道展で文部大臣賞、79年、86年全道展で奨励賞。倶知安町で開催中の第59回麓彩会展に出品中。道教育大学札幌校特美卒。室蘭市生まれ。札幌市清田区在住。

 ◆写真は『私の庭“小さな森”』(15号)

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堂々とした気品と風格 『香西 信行作陶展』

 

 1995年、空知管内栗山町で自力で穴窯を築窯以来22年。さらに登り窯を設けて8年目。そこで焼き上げた気品と風格の作品130点を発表。1992年の初個展以来24回目。
 穴窯1回の焼成に大型トラック1台分のカラマツを焚く。まき窯による作品は、荒々しい風格を思わせるが、展示されている数々の作品は色彩感に富み、しかも輝きがある。
 大壺、大鉢などは赤やグリーン、ブルーの輝きがあり、白を基調にした大作も。「まきの性質や灰の変化、焼く温度によって微妙な色合いになる」という。大皿などは、白っぽく輝いている。
 「迫力がないと面白くない」―。堂々とした風格と共に深い神秘感と気品を漂わせている。窯名は、もみじ窯。

 札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラルで15日まで。


 DSC01327_convert_20171014103015.jpg  香西 信行(こうさい・のぶゆき)さん
 穴窯は6日間、登り窯は3日間焚き続ける。カラ松材は、自ら切り割る。滋賀県信楽町産の源土を乾燥させ、砕き、不純物を除去するなど1ヶ月をかける。2000年に道銀芸術文化奨励賞、03年大滝村陶芸展で大賞。アメリカで作品展、窯焚きの指導をし14年にはパリでも作品展。1951年札幌市生まれ。同市厚別区在住。


 ◆写真は気品と風格の作品『緋色窯変壺』(高さ約45㎝)

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ストーリーを込めた赤の世界 福島 靖代個展

 

 「赤が好きです」。見事に赤色を基調にした油彩25点を発表。いずれも風景や静物などとは違った取り組みでストーリーが込められ、メッセージ性が強調されている。2012年以来4回目の個展。0号から130号。
 「強いて言えば心象風景です」。大作の『灯』、『黒い蝶が飛んだ日』などは、真っ赤な空間の上部に割れて崩れ落ちそうな球体が浮き、下には真っ赤なりんごが重なるように描かれている。小品の『灯』は、ろうそくの灯かりがりんごを照らし出している。
 空中に浮くひび割れ状の球体は「自然の崩壊のメッセージです」と語り、今にも落下しそうな雰囲気。多くのりんごは、平和への強調なのかも。
 花や楽器などをやはり赤を基調に立体的に構成、優しい作品も。筆、ペインティングナイフや指でも描き込み、きれいなマチエールも魅力。「1点仕上げるのに3ヶ月はかかる」という取り組みである。

 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで8日まで。

 DSC01290_convert_20171005162335.jpg 福島 靖代(ふくしま・のぶよ)さん

 かつてはブルーが基調だったが“赤の世界”に入って20年以上。絵筆は40歳代から本格的に。師は故阿部国利氏。新道展で1998年佳作賞、45年新会友。2010年以来春陽展に入選。新道展会員、春陽展会友。1943年小樽市生まれ。札幌市在住。


 ◆写真は、油彩の『灯』(100号)

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12人が20点を出品 第45回美術文化北海道支部展


 
 「正しい美術文化の在り方を考えそれを表現する」を掲げ、1940年に東京本展を開いた公募展で、道支部展は連続45回目。12人が8号から120号の油彩20点を出品、存在感を見せている。
 本展の部門は油彩、デザイン、立体、写真だが、道支部展は油彩だけ。11人が新道展会員。東京本展の会員は鈴木秀明(東京)西田靖郎(八雲町)宮澤克忠(帯広)柳川育子(札幌)和田仁智義(芽室町)の皆さん。今年4月本展で糸井崇忠さん(札幌)が会友に推挙された。
 作品は具象から抽象まで幅広い。西田さんの『春』は花吹雪の中の女性像、久保田年子さん(函館)の『夢~輝いて深く~』は海中を思わせるブルーの空間に数々の花が咲き、柳川さんの『泡のごとし』は画面いっぱいに黄色の帯状がゆらめく…など個性豊かな取り組み。作家の熱い思いが楽しめる。

 札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラルで8日まで。


 ◆写真は今年会友に推挙になった糸井崇忠さんの油彩 『サイ』(100号)
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Author:chikuwapan
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