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多彩な造形美の陶象 『相馬 康宏作品集』

「私のような作品を作っている陶芸家は全国的にもいないでしょう」。『陶象』と名付けた独自の造形作品を作り続けて35年。高さ60㎝から80㎝の個性豊かな作品12点を発表。個展としては実に22年振り。
陶芸といっても家庭用食器ではない。粘土を積み重ね三角状、弓なり状、箱状さらに人体状の形状を立体的な形に仕上げている。しかも表面と裏側のつくりが違う。それらをグリーン、ブルー、オレンジ系といった釉薬でカラフルな造形美に。
角状や円形状の内部は空洞。「作りながら形を考える」という。釉薬も独自に作る。『陶象』とは、作者独自の造語。さわって感触を楽しめるのが特徴でもある。
札幌市中央区大通西5、大五ビル・ギャラリー大通美術館で4月1日まで。

陶芸は独学。1983年以来35年に。「作品は1千点以上ある。これからは10回は個展を続けたい」。窯は灯油。かつては公募展に所属していたが、現在は無所属。陶媛夫人も陶芸家。1947年札幌市生まれ。空知管内由仁町在住。
◆写真は多彩な造形美の『陶象』
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風景を気迫の筆勢で 柴崎 康男展

室蘭、網走、浦河…道内各地を中心に海外の風景と花を描いた油彩合わせて17点を発表。道内の風景は、主に冬の海を大きなスケールで描き自然の美と空気感が広がっている。サムホールから20号。
筆で下地を塗ってからペインティングナイフでぐいぐいと描き込む。網走の『冬の帽子岩』、室蘭の『地球岬』など、荒れる冬の表情を気迫の筆勢で展開、厳しい冬の光景がじかに伝わってくる。
イギリス、ギリシャなど海外の風景は5点。海と山を重厚マチエールで描いている。
花はアジサイ、バラをアップするように画面いっぱいに表現。6点で「これだけ花の作品をそろえたのは初めて」という。入念な描き込みである。
札幌市厚別区中央2条5丁目、デュオ2・5階、新さっぽろギャラリーで26日まで。

精力的にスケッチに回りヨーロッパ、アメリカなど海外へも。1994年の初個展以来グループ展も含め多数。二科展で特選、新道展で佳作賞。2009年に伊達市芸術文化賞受賞。新道展会員、二科展会友。1952年室蘭市生まれ。伊達市在住。
◆写真は『冬の帽子岩(網走)』(12号)
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漂着物に生命を 水高 和彦展

「海岸に流れ着いた木材に生命を吹き込みたい」。昨年の第62回新道展で協会賞を受賞した大作(188×188㎝)をはじめ2016年に制作した作品から新作まで32点を発表。それは、数々の素材を組み合わせて仕上げる「ミクストメディア」と呼ばれる独自の作品。1991年以来27年振りの個展。
木片、布、麻、針金、厚紙…それらを組み合わせコンクリートや漆喰で固めて作品に仕上げている。素材の角材や板など木片は、海岸に流れ着いたもの。単なる廃材ではなく赤さびたくぎ、鉄板の一部などがついてい「何か物語が秘められている」とみている。
「それらをアートに仕上げ再生したい」―。白い空間に浮くように腐食した角材や板などが組み合わされて『旅』『時のコンポジション』といった作品に。存在感が強調され、作者の熱い思いが伝わってくる。
札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで25日まで。

木片は胆振管内勇払海岸で収集する。彩色せず漂着物の色や形を生かして表現する。新道展での協会賞は一昨年、昨年と2年連続。恵庭市文化協会振興賞、同市文化奨励賞受賞。恵庭市文化協会事務局次長、新道展会友。札幌大学経済学部卒。1954年恵庭市生まれ。同市在住。
◆写真は『時のコンポジション』(50号)のⅠとⅡ
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猫シリーズの油彩、陶芸 『川本 ヤスヒロ小品展』

「まとめて発表するのは初めて」という“猫シリーズ”の油彩を中心にパステル画20点、やはり猫を描いた陶芸作品56点と陶板を発表。文字通り“猫の世界”を多彩な表情で描き、ファンを楽しませている。
2004年からの油彩だが大半は今年の新作。猫の顔がアップしている、ビルの屋上から眼下を展望している、じっとクラシック音楽を聴いている…などの他、人物像のどこかにさり気なく猫が描かれている。
作者は、クラシック音楽をテーマに発表しており、猫も第九を聴き目を輝かせている、うっとりしているといった表情が印象的。
ペインティングナイフも使い重厚な描き込み。陶芸は「花川窯」を開窯しており、キャリアほぼ40年。ペン立て、皿などはかわいい猫が登場している。
札幌市西区琴似1条3丁目、ぎゃらりー北都館で19日まで。

猫は2005年まで飼っていた。毎年個展、グループ展で発表、昨年10月に深川市で開いた個展では66点を発表。描くテーマは音楽。石狩の風景のスケッチを続けており目標は1千点。全道展で知事賞、会友賞など。昨年まで3年間全道展事務局長。全道展、石狩美術協会会員。1950年釧路市生まれ。石狩在住。
◆写真は油彩の『未完成を聴く白いネコ』(サムホール)
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本道の四季を130点 『場崎 惠絵画展』

「これほど多くの作品をそろえたのは初めてです」。油彩30点を中心に道内各地の四季の風景、花を描いた水彩画合わせて130点を出品、おう盛な制作意欲を見せている。油彩は100号から150号をメインに大きなスケールで展開している。
「北海道命名150年に合わせて道庁赤れんがの四季と道内各地の風景を描いた」と語り、『道庁絵画』『礼文・利尻スケッチ』『道内スケッチ』に分けて展示。一部パリなどヨーロッパの風景も。
「よく描きに行く」という道庁赤れんがシリーズの油彩は桜、初夏、紅葉、冬の風景を明るく、リズミカルなタッチ。四季の変化を存分に見せている。礼文・利尻、石狩、大雪…コントラスト豊かに堂々としたスケール。
「かつては描いていなかった」という花の作品も多彩。カタクリ、ライラック、藤…美しく生き生きとした筆勢。居ながらにして北海道の四季が楽しめる。
札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラルスカイホールで18日まで。

マイカーに冬はソリやスキーを積んでスケッチに。地元石狩川河口にはほぼ毎日。1~2時間で仕上げる。1985年の初個展以来、グループ展も含め多数。道展で佳作賞、会友賞など。道教育大学特美聴講生修了。1954年函館市生まれ。石狩市在住。
◆写真は油彩の3月の風景『利尻山』(100号)
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独自の手法の陶芸 『内海 眞治個展』

「素材や伝統の技法にこだたわらない独自の作品です」―。『ぼくのどうぶつえん』をタイトルに「イメージの動物…」というカラフルで多彩な造形美の作品を発表。壁面にも額装、大小の皿、飾り物などが展示され、楽しくにぎやかな作品展に。
陶芸だが、素材は粘土だけではない。紙、皮、発泡スチロール、鉄など幅広い。“動物シリーズ”は「紙に特殊な粘土張り合わせて焼き上げた」というもので犬、亀、鳥、猫などを思わせる独特のフォルム。しかもカラフル。体内は空洞で非常に軽い。来場者は、思わず手に取って楽しんでいる。
自由な発想とアイディアであり「デッサンをせずにいきなり作っていく」という。カップ類も紙に粘土を張りつけたり、ベニヤ板に粘土を張りつけて焼き上げた作品もあるなど独自の手法。毎年個展を開いており、昨年は、人形を中心にした『童夢の世界』だった。
札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで11日まで。

「昨年11月から作った」という。ロクロは使わない。陶芸は独学。窯は電気。1990年に脱サラで「放浪工房」を築窯、独立。92年以来札幌を中心に発表、2004年に東京でも。明治大学文学部卒。1948年宮城県生まれ。砂川市在住。
◆写真は数々の動物の作品
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朝焼けの風景美しく 『石垣 渉水彩画の世界展』

「朝焼けの美しい風景」をテーマに、本道各地の風景を中心に詩情豊かに描いた水彩画17点を発表。初の技法書『水彩画 水を操る15のテクニック』を5日、日貿出版社(東京)から全国発売、その記念展。
芝桜を画面いっぱいに描き、春近しを思わせる作品もあるが、大半は光と影を中心に描いた広々とした雪原や波の音が聞こえてきそうな海辺の風景。いずれも朝日が昇る頃の光景。神秘感が漂う自然の美しさである。
透明水彩絵の具と筆で入念に描き込み、バックランというぼかしの手法も。「写真と間違われる」というほどリアルな描写力である。
人影はない。明るく澄んだ空気感が広がり、自然の魅力を存分に見せている。
札幌市中央区大通西4、道銀本店ビル・らいらっくぎゃらりぃで11日まで。

2004年からイラストレーターとして活躍。09年から水彩画家に。11年に地球一周の船旅で約3ヶ月かけて18ヵ国をスケッチ。個展は数多く昨年は東京でも。道展で15年新人賞、16年佳作賞、16年水彩連盟賞も。道展会友、水彩連盟準会員、日本イラストレーター協会、サッポロ未来展会員。札幌大学経済学部卒。1979年北見市生まれ。札幌市在住。
◆写真は、水彩画の『冬の海』(25×70㎝)
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メルヘンの世界を楽しく 『あべみち子 おやつほっこり展』

2007年に絵本『たいせつなきもち』を出版、以来11年振りに発刊した『きょうのおやつは』(34ページ)の原画展。「架空の動物…」という「もこちゃん」がおやつを楽しみに夢を広げるストーリーをホットな情緒で描いている。個展は7回目。
「年齢は3~4歳です」。かわいい子熊を思わせるような架空の動物が「まちにまったおやつのじかん!」と、心をはずませるメルヘンの世界を楽しく描いている。
細いペンでリキテックス、液体のアクリル絵の具で描き「修正はききません」。原画は19点。丁寧な描き込み。「構想から完成まで1年かかりました」という熱い取り組み。
色鉛筆で描いた作品、数々の動物、果物などを描いたスケッチブックなども展示、心和む出版記念展に。
札幌市中央区北5西5、紀伊國屋書店ギャラリースペースで8日まで。

「これまでは趣味で描いていたけれどこれからは本格的に取り組みます」。今回の作品で絵本作家としてデビュー「次の作品の構想も出来ています」。小学校時代から絵が得意。中学生時代には漫画家を目指した。根室、札幌で21年間中学校の美術講師。2014年からフリーに。イラストレーターズ通信会員。道女子短大(現北翔大学)工芸美術科卒。1962年根室市生まれ。小樽市在住。
◆写真は、もこちゃんが、桜もちを食べている表情
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被災地の現実を生々しく 『伊藤 光悦展』

東日本大震災で大きな被害を受けた三陸沿岸に熱い思いを寄せて描いた油彩13点と水彩とアクリルによる9点を出品。人の姿の無い生々しい震災の光景をリアルに描き込み現実の姿を伝えている。2014年に「被災の地に立って」と題して発表以来2回目。油彩は、30号から150号が中心。
被災地への2011年以来、昨年まで4回訪れている。「被災のつめ跡も撤去され、街があったことすら分からない場所も増えてきた」と語り、展示されている作品は被災の跡が生々しい。
コンクリートがむき出しになり水の無いプールの小学校、破壊されたままの海辺の一軒家、流されたコンクリートの破片が重なり合っている光景…被災の現実を入念に描き上げている。
静寂さの中にも人の気配、呼吸を感じさせる。同時に自然の厳しさも。「被災は、テレビで見た衝撃度をはるかに超えている」という。
札幌市東区本町1条1丁目、茶廊法邑で11日まで。

常に社会の動向に目を向けた取り組みを続けている。三陸沿岸の被災地へはレンタカーで3泊4日の日程で回った。道展で札幌市長賞、佳作賞、会友賞、二紀展で同人賞、会員賞など。個展、グループ展も多数。二紀会委員、道展、日本美術家連盟会員。道学芸大学特美卒。1942年夕張市生まれ。北広島市在住。
◆写真は油彩の『僕らの学校』(100号)