~北海道で活躍している作家さんたちを紹介しています~  五十嵐 恒

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人間の思いを追究 『モリ ケンイチ個展』

 
 「人間の本質的な在り方を描きたい」―。常に人物、特に女性像を中心にストーリーを秘めた作品を発表しており、今回も「真夜中のサーカス」をタイトルに“語り”を込めた描き込み。60号から100号7点を中心に30点。
 女性像の背景に風景を描いた作品もあるが、多くは濃いブルー、グリーン系の空間に赤い衣装の1人の女性が浮き出るように表現されている。綱を渡っている、1本の綱をよじ昇っている、空中ブランコをしている…顔は一見無表情に見えるが、何かを訴えるような描き込み。
 「綱渡りの絵は世渡りを、よじ昇っているのはジャンプしようとする人間の本性を表した」と語り、内面性を追究している。
 ローラーも使いめん密な描き込み。一見、静寂な雰囲気の中にも激しい呼吸が伝わってくる。

 札幌市東区本町1-1、茶廊法邑で26日まで。

 ◆写真は油彩の『蜘蛛の糸』(100号)


 P1070566_convert_20170218140754.jpg  モリ ケンイチ(もり・けんいち)さん
 2002年に画家を目指してパリへ。札幌、東京を中心に個展、グループ展は数え切れない。常にテーマを決めて発表、4月にも札幌で個展。全道展で13年、14年に奨励賞、15年には70周年記念賞を受賞。北の大地ビエンナーレ展でも佳作賞。全道展会友。ベルサイユ美術学校卒。1969年札幌市生まれ。同市白石区在住。

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独自の多彩な「にじみ画」 安保 真作品展

 

 「アイヌ文化の魅力を発信したい」―。独自に確立した「にじみ画」でアイヌの人々が最高の神としてあがめるとされているシマフクロウを中心に描いた大小様ざまな作品100点を出品、その魅力を見せている。本道で制作・発表していたが、2001年以来東京を中心に活動、会場の三越では6回目の個展。 水墨画ではない。描きたいところに水をつけ、そこに墨を加えてにじませ、余分な水分を布やスポンジで吸い取る手法を繰り返して仕上げる。1点完成するのに2~3ヶ月かかるという。
 墨の微妙な濃淡のにじみときめ細かなタッチで描き上げたフクロウの表情は多彩。大きく羽ばたいている、4羽が寄りそっている、雪が降る傘の下で親子が何かを語り合っている…常に問いかけるような雰囲気。ポスターカラーで彩色した作品も。
 書家として健筆を振っていることから、書と絵を組み合わせた『書画』『語録』という作品も。ハンカチ、バッグ、カレンダーなども。会場で「にじみ画」制作の手法も見せている。

 札幌市中央区南1西3、三越9階ギャラリーで13日まで。

 ◆写真は展示されている数々の作品



 P1070542_convert_20170210154155.jpg  安保 真(あんぼ・まこと)さん
 現代墨絵作家。1994年に「にじみ画」を確立。千歳の「中学時代にアイヌ文化に出会い30代から取り組んでいる」。個展、グループ展は全国で。メキシコ、ニューヨークなどでも発表。「千歳市でも開きたい」。1962年オホーツク管内佐呂間町生まれ。東京都在住。

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個性豊かに855点 『第27回墨遊書展』

 
 北海道書道教育研究会(島田青丘代表)主催の公募展。幼児から一般までの入賞・入選作品799点を始め会友、役員の作品合わせて855点が展示され、力量を競っている。会友の部の大賞き佐藤昌弘さん(札幌)準大賞は三上ちよさん(江別)が受賞。
 公募は課題と創作部門に2千点を超える応募があった。「個性を尊重する」が基調で、堂々とした筆勢の書が壁面いっぱいに展示され、迫力感が広がっている。硬筆部門もあり団体賞は北人支部(旭川)が最優秀賞に。役員の36点も個性豊かで多彩。
 12日に表彰式が行われる。

 札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで12日まで。


 ◆写真は壁面いっぱいに展示されている入賞・入選作品

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木綿に描いた独自のアート 『植田 ようこ作品展』

 


 天竺(てんじく)木綿に染料で描き、顔料を施して仕上げる独自のアートに取り組んで30年以上―。『夢のカタチ』をテーマに花、鳥を表現した作品を中心にスペインの風景など16点を発表。毎年グループ展で発表しているが、個展は久し振り。
 ご主人の植田莫さんと共に木綿に染料で描く手法の作品を発表しており「この種の作品を制作する人は、他にいないかも…」。今回も明るく優しい色彩の額装と立体像の作品をそろえている。
 「夢を見るように楽しんでもらいたい」。表現されている花や鳥は、デフォルメされ、作品『黄色い花』『白い花』には小鳥も表現され、作者独自の世界。色彩もソフト。
 布、水彩紙に描いた風景の他、ガーゼを3枚重ねて表現したという作品も。非常に手が込み、しかも丁寧に仕上げており、ホットな雰囲気。



 札幌市北区北8西1、石の蔵ぎゃらりぃはやしで14日まで。その後16日から21日まで墨と顔料による作品を発表する。


 ◆写真は顔料で描いた『白い花とテングウオ』(45㎝×35㎝)


P1070537_convert_20170205101117.jpg  植田 ようこ(うえだ・ようこ)さん
 元々は染色家だった。ご主人と莫工房を主宰、道内を始め本州各地で発表。今年も小樽、東京などで。海外取材も豊富。女流工芸一の会会員。1948年札幌市生まれ。同市在住。本名・洋子。

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女性の内面性追究 『高梨 美幸個展』

 
 「描く基調は、人間と植物の生命力です」。女性像を中心に神秘感をにじませた油彩を中心に22点を発表。100号から0号。2015年6月以来2回目の個展。
 描く女性像にモデルはいない。何かを追究するように目を見開いている女性像もあるが、多くは大木や草花の中でじっと目を閉じている表情。大作『6月の譜』は水たまりの中で傘を手に、『夜明けの予感』は大木の根で何かを夢想するような愁いを秘めた表情である。
 入念な描き込み。ホワイト調の空間に浮き出るような女性像であり、いろいろな想像をかきたてる深い内面性を秘めている。
 作品『生命の賛歌』『夜の女王』など生命とストーリーが協調されている。

 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで5日まで。

 ◆写真は油彩の『夜明けの予感』(60号)


 P1070529_convert_20170205101018.jpg  高梨 美幸(たかなし・みゆき)さん
 「作品は、ここ数か月で仕上げました」。札幌で小学校の教壇に立っていたが退職以来3年。本格的な絵筆は退職後という。5月にプラハに行き制作、11月には再度個展。道教職員美術展で入賞・入選。2008年新道展で佳作賞。新道展会員で事務局担当。道教育大学岩見沢校卒。札幌市生まれ。同市在住。

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バランスの立体作品 『泉 修次展』

 
 「何事もバランスが大切です」―。長年、立体造形作品に取り組んでおり『孤形』『均』『覗き穴のある箱』シリーズなどの作品を発表してきたが、今回は『均衛』のシリーズ。2012年以来5年振りの個展。
 長さ2・20m、幅16㎝の薄く長い板が4本、壁面からのスチールワイヤーに支えられるように1m間隔で整然と並んでいる。日本画の顔料で濃い茶系に彩色され、細長い鉄製のように見え重厚感が漂い緊張感も。
 床面に砂と水が入った缶が多数配置されている。「自然とのバランスを考えた」と語り、空間に浮くような細長い“鉄製“と会話するような雰囲気でもある。
 シンプルな造形美の中にもシャープさと奥行きを感じさせる独得の立体感をつくり出している。

 札幌市中央区北1西28、ギャラリーレタラで2月12日まで。

 ◆写真は「均衛」シリーズの作品


 P1070510_convert_20170127170743.jpg  泉 修次(いずみ・しゅうじ)さん
 「小学生の頃からオモチャなどを作った」。元々はデザイナー。30代から作品を発表、美術界へ。当初は絵画で全道展に入選、その後立体へ。北海道抽象派作家協会展、寒別グランドアート展など多数。個展も1986年以来14~5回という。年末年始のグループ展で発表するおみくじの箱のアートが人気を呼んでいる。1950年茨城県生まれ。札幌市中央区在住。

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十勝の自然をアピール 『鹿追窯作陶展』

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 十勝管内鹿追町で作陶を続けている三上一正さんの札幌展。地元鹿追町で採掘される粘土と栽培されるかぼちゃの葉や茎による釉薬、後志管内余市町のりんごの木灰による釉薬で焼き上げた数々の家庭用食器類が展示されている。透明感に富み美しい気品を秘めている。
 作品は直径40㎝の大鉢から酒杯まで多彩。それは、かぼちゃの葉や茎を素材にした釉薬の鮮やかなブルーとりんご灰釉による清そなホワイトに大別される。しかも一部ホワイト系の容器を除き、ひび割れ状の線が走っているのが特徴。
 この貫入の紋様は、焼き上げる温度差によって違い様ざまな表情の線の走りを見せている。地元産の粘土も展示され、十勝の自然にこだわった陶芸の魅力をアピール、30日まで作陶の実演も行っている。

 札幌市中央区南1西2、丸井今井一条館7階で31日まで。

 ◆写真は酒杯を中心にした数々の作品


 P1070515_convert_20170127170614.jpg  三上 一正(みかみ・かずまさ)さん
 1993年に鹿追町陶芸工芸館勤務以来24年。98年平原社展に初出品して入選。個展、グループ展は数多く、昨年札幌芸術の森美術館で開かれた北海道現代陶芸奨励賞展にも入選。北海道陶芸会会員。帯広工業高校機械科卒。1971年十勝管内浦幌町生まれ。鹿追町在住。

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今回が最後の支部展 『大洋会北海道支部展』

 
 具象系の絵画を基調にした公募展・大洋会(本部、東京)の第34回道支部展。11人と2人の協力出品者の油彩25点、水彩8点が美を競っているが高齢化などで出品者が年々減り、道支部展は今回で幕を閉じることに。
 大洋会の本展は、毎年東京で9月か10月に開かれている。昨年は石本興治さん(札幌)が秋の積丹を描いた油彩で新人賞を受賞した。だが原田富弥道支部長は「かつて本部会員だけで33人いたが、今は7人に。高齢化や体調の問題などで出品者が少なくなった」と語り、道支部を解散することに。東京本展への出品は続けるという。
 最後の道支部展は、豊川陽子さん(札幌)の冬景色を描いた3点など四季を描いた作品を中心に大作、力作が最後を飾っている。
 今後は「楽しく豊かな創作活動を続けていくために」と、道支部の皆さんを中心に多くのアーティストに呼びかけ『グルッペ空展』を結成、発表を続ける。16人が参加、3月23日から札幌で第1回展を開くことも決まった。

 札幌市中央区大通西5、大五ビル・ギャラリー大通美術館で22日まで。


 ◆写真は原田富弥さんの奈良・明日村を描いた油彩『棚田のある風景』(100号)

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心が和む多彩な造形美 『渡辺 一夫木彫の世界』

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 木彫ひと筋50年―。動物や音楽、優しい少女像、気品に富む女性象などをモチーフに制作することで定評があり、今回も詩情豊かに心和む立像、レリーフ45点を発表。釧路市にアトリエを構え日本各地で個展を続けており、札幌では3年連続の新春展。
 「見てくれる方の心に響く作品を」―。カツラ、シナ、ニレ、最近はケヤキも素材に仕上げる作品は、ホットな情緒で思わず手に取ってみたくなるものばかり。少女3人が空を見上げる『星ぞら』、5人の『ひだまり』、少年2人の『小枝のかたまり』からスマートな女性像、愛らしいフクロウ、更にレリーフの絵のような『バラの香』『踊り子』など多彩。優しく心に響いてくる。
 作者自身ギターを弾き、さらにクラシック音楽を聴きながら制作することもあってか静かなメロディーを感じさせるのも特徴。笛を吹く少女像『風の調べ』といった作品が象徴している。ほのぼのとした温かさが伝わってくる。

 札幌市中央区北5西4、大丸札幌店8階美術画廊で17日まで。

 ◆写真は展示されてる数々の作品


 P1070491_convert_20170114103619.jpg  渡辺 一夫(わたなべ・かずお)さん
 木彫は独学。画家を目指して上京、そこで日本を代表する木彫家を目指して上京、そこで日本を代表する木彫家平櫛田中氏(故人)の作品を見て感銘、木彫の世界へ。福島、仙台、東京、福岡などで毎年のように個展を開き、今年6月地元釧路でも6年振りに開く。1996年釧新郷土芸術賞を受賞。1948年釧路市生まれ。同市在住。

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数々の花をより美しく 『安栄 容子日本画展』

 

 「野生の草花を描いて20年以上になります」―。バラ、ハマナス、カタクリ、桜…数々の花を美しく、しかも丁寧に描いた日本画20点を発表。0号から100号。昨年9月に次いで5回目の個展。
 「新春を迎えたので明るくしました」。ピンク、黄、白といったカラフルな花の表情を優しく、明るく画面いっぱいに描いている。同時に空気感があり、花が風に揺れるような情緒でもある。
 「山へ行ったら草花の名前は全部分かる」と言うほど花に詳しい。花への思いが込められている。『はれの日に』『ささやき』『陽をあびて』といったタイトルで生き生きといとおしむように愛情を込めて描き込んでいる。
 会場で花に囲まれていると心が和む。

 札幌市中央区南1西3、さいとうgalleryで15日まで。

 ◆写真は、桜を描いた『はれの日に』(45㎝×1m)



 P1070482_convert_20170111112226.jpg  安栄 容子(あんえい・ようこ)さん
 下絵を、制作する絵と同じ大きさの紙に描く。「大作は1点仕上げるのに3ヶ月はかかります」。日本画を描いて28年目。自宅の庭に数々の花も。今年は既にグループ展に出品、4月にも個展がある。初個展は2002年。13年に小樽で母娘孫3人展を開いた。道展で1999年新人賞、2000年佳作賞、09年会友賞。道展会員。道教育大学大学院修了。小樽市生まれ。札幌市在住。
プロフィール

Author:chikuwapan
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『北海道を彩るアーティスト』
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