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植物の生命力を力強く 『白鳥 洋一展』

「植物の生命力を描きたい」―。2016年から取り組んでいる『植物記』シリーズの新作5点を中心に小品8点を出品。新作の5点は、約2m×2mの大作。13回目の個展。
「特定の植物ではない」―。その植物を白い空間に黒や茶系を基調にシンプルに、だが堂々と描き込んでいる。
地中から何本もの植物が伸びている、地中にどっしりと根を張っている、2本の大木が天に伸びている…堂々とした生命力である。
キャンバスではなく“普通の紙”にアクリル絵の具を中心に描いている。しかも紙を数枚組み合わせて1点に仕上げている。
多色を使わず、構図もシンプルだが、植物の呼吸が伝わってくる。
札幌市中央区北1西28、ギャラリーレタラで18日まで。

「堂々とした植物の生命力を描きたい」。かつては、花火がモチーフだった。一級建築士で絵は独学。新道展で協会賞、ニッサン童話と絵本のグランプリ・絵画部門で優秀賞など。初個展は1938年。東北工業大学。新道展会員。1951年留萌市生まれ。札幌市在住。
◆写真は『ふたつの眠り』(縦×横約2m)
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自然の光景を広々と 『府川 誠展』

広々とした畑、その向こうの樹林、広がる空…大自然の光景を静的な情緒を秘めて描いたた版画(リトグラフ)46点、オイルパステル画17点を発表。東京では、ほぼ隔年で発表しているが、札幌では2011年以来の個展。
「基調は胆振管内喜茂別町、後志管内ニセコ町の風景です」。それを独自の感性でイメージの世界を展開している。広がる畑の手前で遊んでいる小さな子供、空は広々として画面の大半を占める…大自然を優しくきれいな色彩で展開している。
夏はグリーン、夕方はピンク系、冬はホワイトが基調。四季の変化を丁寧に表現している。
オイルパステル画は、牛乳パックをミキサーにかけ、ろ過した紙に描いている。版画とは違い重厚感があるが、雰囲気は版画同じ。取り組んで10年程という。数々の作品は、都会の騒音を忘れさせる。
札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラルで4日まで。

1998年に喜茂別町の旧羊蹄小学校に工房を、その後2002年にニセコ町にギャラリーと工房を移した。初個展は1975年東京で。以来全国で開催。春陽会、日本版画協会、日本美術協家連盟各会員。東京造形大学卒業、造形美術学校修了。1949年神奈川県生まれ。91年札幌市へ。ニセコ町在住。
◆写真はオイルパステルによる『地空』(6号)
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全室に多彩な作品 『島田 無響遺作展』

本道書道界に大きな足跡を残し、2015年4月3日、87歳の生涯を終えた作者の遺作展。「膨大な作品の中から選んだ」という大小の額装の漢字、かなの創作約50点を中心に折り状、短冊などが会場いっぱいに展示され在りし日をしのんでいる。
島田さんは1928年千葉県生まれ。早稲田大学卒業後サラリーマン生活に入り、57年に札幌市へ。
61年、33歳で日展に初入選、その後北海道書道展会員、創玄書道展、毎日書道展各審査会員、「鮎の会」結成など本道書道界発展に貢献した。
62年に初個展を開いて以来2007年80歳の記念展まで13回も開き存在感を示した。中国へも何度も訪れた。
展示作品は、1960年代から制作年が不明の漢字、かな、片仮名などの濃墨、淡墨…と多彩。折り状は「全長7~8m…」という『長江下り』『万葉集九巻』もあり、いかに幅広く活動を続けていたかを改めて印象付けている。実弟で書家の島田一獄さんは「書くことが一番好きな無響でした。無響らしい作品を選び展示した」と語っている。遺作集も発刊された。
札幌市中央区大通西5、大五ビル・ギャラリー大通美術館で4日まで。
◆写真は展示されている数々の作品
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協会賞は花輪さんの大作に 第93回道展

第93回道展(北海道美術協会)が始まり入賞・入選作品、会員、会友、この1年間に亡くなった方の遺作4点の合わせて555点が、芸術の秋を飾っている。最高賞の美術協会賞は、道教育大学札幌校准教授の花輪大輔さん(45)=札幌市=の彫刻『意志』に。
日本画、油彩、水彩、版画、彫刻、工芸の6部門に油彩の221点を始め合わせて419点の応募があり255点が入選した。応募は19歳から96歳と幅広く、水彩画で新人賞を受賞した斎藤誠さん(札幌市)は74歳だった。
花輪さんの受賞作は円形状の立体造形作品。水溶性アクリル樹脂、鉄粉などの素材で高さ195㎝という大きなスケール。初出品以来、4年連入選で今回大賞に。「大きなスケールとボリューム感があり、動きのバランスやシャープな構造が絶妙でてある」と評された。
事務局では「出品者の年齢が幅広く、各部門とも熟練した技術を生かした作品が多くバラエティーに富んだ内容になっている」と語っている。
佳作賞は29人、新人賞と会友賞は、ともに11人が受賞した。
25日と11月1日は観覧時間を2時間延長するギャラリーナイトが行われ、胆振東部地震復興支援などのチャリティー展が開かれている。
札幌市中央区南2東6、札幌市民ギャラリーで11月4日まで。その後釧路、帯広、北見市で移動展が開かれる。
◆写真は、協会賞を受賞した花輪大輔さんと作品『意志』
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大作4点中心に27点 工藤 悦子個展

2015年から続けている『環』シリーズの130号2点を組み合わせた3点、120号2点を合わせた1点といった大作4点を中心に小品を合わせて27点を発表、迫力感が広がっている。3年振り12回目の個展。
作品の基調は『生命体』。「地球上のあらゆる生物の生命体に思いを込めています」。明るい茶系を背景に木の葉を思わせる大小のフォルムが重なり、競い合っている。中には、画面中央の数々の円状からエネルギーを求めるかのように葉状が集中している点。生き生きとした筆勢。
きれいなマチエール。葉状の表面が絵の具の上に紙などを張っては、はがすデカルコマニーの手法で微妙に変化しているのも特徴。入念な描き込みである。
札幌市中央区大通西3、道新ギャラリーで23日まで。

「下地を仕上げれば、絵は半分以上出来たようなものです」。大作1点完成させるのに1年はかかるという。かつては『悠久の華』『夜の華』シリーズだった。新道展で佳作賞、主体展で佳作作家賞など。新道展、主体展会員。1942年旧樺太生まれ。江別市在住。
◆写真は、120号2点合わせた油彩の大作
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80歳の記念展 『川西 勝展』

本格的に絵筆を手にして50年、そして80歳を迎えた記念展。油彩の100号2点を合わせた大作など11点を中心に46年前に色紙に描いた水彩画まで48点を出品、歩みをたどっている。札幌での個展は3回目。
小品の具象から心象構成。「描いて10年くらい」という抽象絵画まで幅広い。心象作品は女性像を中心にした優しい情緒。
100号、80号といった大作は抽象構成。『有為転変』『灯り』などの新作は黄色、白、黒といった明るい色彩が響き合うよう。円状の周囲につながりを構成するなどストーリーが秘められている。濁りのない明るい色彩で心地よい。
「シンプルな形の中に何かを閉じ込めたい」と語り、リズミカルな構成である。
札幌市東区本町1条1丁目8-27、茶廊法邑で28日まで。

滝川、砂川、岩見沢市で数多く個展。空知管内で40年間教職に。新道展で札幌市長賞、札幌市教育長賞、道教職員美術展で特選、奨励賞など受賞。新道展会員。道教育大学岩見沢校卒。1938年美唄市生まれ。札幌市在住。
◆写真は油彩の『灯り』(100号2点の組み合わせ)
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10人が個性の競作 美術文化北海道支部展

「新しい美術文化の在り方を追求し、自己を忠実に表現する」を掲げ1940年に東京で創立展が開かれた美術文化展の第46回北海道支部展(鈴木秀明支部長)。支部展は1972年に第1回展が開かれた。今回は、10人が大作を中心に17点を出品している。
メンバーは道展会員の三浦恭三さん(小樽)以外は新道展の会員、会友、一般出品者。
柳川育子さん(札幌)さんの『時は流れて』は白い雲がなびくような、久保田年子さん(函館)の『ブルーケルプ』は海草がゆらめき、宮澤克忠さん(帯広)の『欲と賭けとブギウギ』はコラージュも駆使、非常にカラフル…など個性の競作。今年の新道展で佳作賞を受賞した楓月まなみさん(札幌)が初出品している。
札幌市中央区南1西3、大丸藤井セントラル階スカイホールで7日まで。
◆写真は楓月まなみさんのアクリルと墨による『流清』(右)と『綾華』(左)
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宇宙的なストーリー 『益村 信子個展』

続けている森羅万象シリーズのインスタレーション(取り付け)を発表。壁面の絵画とは別に広い床面いっぱいに球体を中心に生命のつながりを思わせる独特の会を展開。2年振り22回目の個展。
壁面に地球を思わせる球体から数々の細く黒い糸が伸び、その先に小さな球体が。そこには宇宙空間に存在するすべてのものとのつながりが強調されている。それらを取り囲むかのような“青い樹林”も。
素材は大小の球体は発泡スチロール、古い毛糸、紙による細い丸状の筒…いずれも古い素材を再生して宇宙的なストーリーを展開している。
壁面の8号から100号の5点の作品もコラージュで構成。その中には、地震で大きな被害を受けた胆振管内厚真町の様子を伝えた新聞も。色々な組み合わせが、多くのことを考えさせている。
札幌市中央区南1西11、コンチネンタルギャラリーで7日まで。

「画廊で4時間かけてセットしました」。もともとは油彩。2004年からインスタレーションを発表。初個展は油彩で91年。学生美術全道展で奨励賞、道教育長賞。ボレアス賞、倶知安寒別グランドアート展など多数に出品。道教育大学岩見沢校卒。岩見沢市生まれ。札幌市在住。
◆写真は会場いっぱいのインスタレーション
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自然の生命力大作で 『中村 哲泰個展』

「2014年から取り組んでいる」という『とどまることのない生命』シリーズ14点を中心に油彩30点を発表。このうち50号から150号が18点で迫力感が広がっている。4年振りの個展。
『とどまることのない…』シリーズは、枯れた草花を画面いっぱいに生き生きと描き生命の再生を強調。沼地や岩盤に根を張り花が咲き実をつける…そんな生命力を入念に描き込み自然界のドラマをつくり上げている。
「4~5年前に行ってきた」という九州の軍艦島を描いた大作、2001年にヒマラヤ山脈に挑戦した時の150号の『エベレストの見える風景』は、全体にグリーンが無く無機質で硬質感に富む“無言の風景”だが迫力があり、強い生命力が伝わってくる。
今年の一水会展で第80回記念賞を受賞、委員推挙になった作者の大作、力作である。
札幌市中央区大通西3、道新ぎゃらりーで10月2日まで。

「描く草花の多くは名前がよく分からない。だがすごい生命力なのです」。新道展で札幌市長賞、一水会展で一水会賞。恵庭市から文化賞など多数受賞。個展、グループ展も多数。新道展会員、一水会委員、グループ環会員。1940年恵庭市生まれ。同市在住。
◆写真は『とどまることのない生命』(50号)
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道彩展賞は宮武さんに 第38回道彩展

水彩画の公募展、北海道水彩画会の第38回展。一般公募の入選、入賞作品57点と会員、会友の作品73点合わせて130点が展示され、道彩展賞は、江別市の水彩画教室主宰、宮武輝久さん(67)の『イルミネーション02』(80号)に。昨年に次ぐ2回目の出品だった。
作品は風景、花、人物の具象から抽象構成まで多彩。応募者の最高齢は91歳だった。
道彩展賞以外の主な受賞者は下記の通り(敬称略)
▽道知事賞 松山頌子(札幌) ▽札幌市長賞 斗澤勇一(同) ▽札幌市教育長賞 伊林昌子(江別) ▽道新賞 松崎勝子(七飯町) ▽八木賞 糀谷彌栄子(札幌) ▽伸子賞 高田登志子(同)
19日~24日、札幌市民ギャラリー。
◆写真は、道彩展賞を受賞した宮武輝久さんの作品『イルミネーション02』(80号)